三菱ケミカル「パイレン」/カーペット汎用糸撤退/産業資材向けに軸足

2020年03月11日 (水曜日)

 三菱ケミカルの溶融繊維グループは9月末をめどに、ポリプロピレン(PP)長繊維「パイレン」のカーペット汎用糸の製造・販売をやめる。採算性の厳しさなどが理由。一部のカーペット用糸は残す。

 パイレンの汎用カーペット糸の年産量は約2千トン。自動車のオプションマット用途が主力でタイルカーペットにも使用されているが、輸入品との競合もあって事業環境の厳しさが増していた。

 パイレンの加工糸、原糸の生産・販売とも9月末をめどにやめる。受注状況によっては今年末まで延ばす。

 パイレンは今後、土木・建築など産業資材向けを強化する。ただ家庭用のファインデシテックスPP「ハイタッチ」は、競合品が少なく、産業資材向けでも使用していることから継続する。安田雄彦マネジャーは「カーペットの戦える部分は残し、産業資材向けに力を入れる」としている。

 カーペット用原着ナイロン「キラビス」の製造・販売は続けるが、9月末をめどに加工糸での販売はやめ、原糸販売のみとする。一方でよりソフトなハイタッチタイプ(1380T/240F)をラインアップ、家庭用の拡販も図る。カーペット用ポリエチレン長繊維の製造・販売も継続する。