東レ 不織布事業部/長短総合目指す/吸音材で原反販売目指す

2020年01月08日 (水曜日)

 東レの不織布事業部は来年度からの新しい中期3カ年計画の策定を進めている。ポリエステルスパンボンド「アクスター」の増産に意欲を示しているほか、自動車用吸音材で短繊維による原反販売を検討している。3月までの現中計ではグループで展開する不織布事業トータルの年商を千億円に引き上げる中期戦略に取り組んでおり、次期中計にも長短総合不織布メーカーを目指す拡大戦略を織り込む。

 東レの同事業部はアクスターやポリプロピレン(PP)スパンボンドの輸入販売、PPS繊維「トルコン」、フッ素繊維「トヨフロン」などを展開する。

 主力のアクスターを主にフィルター向けに販売しており、2019年度(20年3月期)は米国向けが減速傾向を示しているものの、その分を中国向けの拡販でカバー。生産設備はフル操業を続けており、「供給が需要に追い付いていない」(松下達不織布事業部長)状況が続いている。今後も中国での需要増を見込んでいるほか、土木資材向けも順調なため、次期中計中の増産を検討し始めた。

 吸音材では、韓国TAKから輸入する原反の販売を計画するほか、「テクテキスタイル2019」に出展したナイロンナノファイバーによる吸音材向け不織布の開発・スペックインを急ぐ。

 トルコンでは、この間、主力の中国市場で極細糸の販促を強化してきた結果、市場での認知度が上がり販売量も急増。19年度上半期は「倍増させられた」と言う。

 中国では南通の東麗繊維研究所〈中国〉(TFRC)がユーザーの石炭火力発電所へのフォローに取り組む。来年度からはさらに0・9デシテックスまで細くした新タイプを打ち出しTFRCとの連携で一層の拡販を目指す。

 紙おむつ市場の失速でPPスパンボンドの市況が振るわない中、東レはユーザー側の好調に支えられ19年度の販売量は前年を多少、上回ると見通している。

 滋賀事業場に構える試験設備を駆使した新原反の開発を加速。「既存品とは触感が全く異なる」ソフトタイプの商品ラインを充実させ、特にプレミアムゾーンでのシェアアップを目指す。既に販売を開始しているアイテムがあり、早ければ来春から中国店頭での販売が滑り出す。