朝日染色/ハンドプリントで欧州へ/100年の技術をMUに

2020年01月07日 (火曜日)

 プリントの朝日染色(栃木県足利市)は、手捺染(ハンドプリント)で欧州市場に打って出る。コストや納期面ではオートプリントなどに後れを取るが、創業以来100年以上にわたって築いてきた技術と知識は評価が得られるとみる。イタリアの服地見本市「ミラノ・ウニカ(MU)」で提案を行い、需要を探る。

 1918年に創業し、日本で初めてハンカチにプリントを施したといわれている同社。現在はプリント事業とコンバーティング事業の二つを柱とし、インクジェットプリントやオートスクリーンなどは協力工場を活用しているものの、自家工場での仕事はハンドプリントにこだわり続けている。

 田邊雅敏社長は、自社で手掛けるハンドプリントについて「色に力と“コク”があるのが最大の特徴」とするほか、捺染糊(のり)も自社でブレンドしているため、「味わい深い色合いが表現できる」と説明。ただ版代を含めてコストがかさむことや生産場の海外移転などもあって、売り上げ規模は減少基調にある。

 反転攻勢への一策として目を向けているのが欧州市場の開拓で、2月4~6日に伊・ミラノで開催される「MU2021春夏」への出展を決めた。海外の展示会には10年ほど前に中国のインターテキスタイル上海に参加したことがあるが、欧州展示会への出展は今回が初めて。

 トップブランドを中心にハンドプリントの良さを伝えるが、すぐに結果を求めるのではなく、「一緒に独自の生地を作ることができるのか」「ハンドプリントの需要そのものがあるのか」を調査し、その上で販売戦略を練る。多様な形を視野に入れながら「早い段階で1億円規模に育てる」と意欲を示す。