伊藤忠商事繊維C/リテールサポート機能提供/次世代化へ着々と進む

2019年12月24日 (火曜日)

 伊藤忠商事の諸藤雅浩常務執行役員繊維カンパニープレジデントは「商いの次世代化」に向けて、リテールサポート機能の提供に力を注ぐ。

 諸藤プレジデントは経済環境について「米中貿易摩擦で中国経済が減速し、欧州も景気の盛り上がりを欠く」とし、日韓問題もデサントの再生に影響を与えていると語る。

 環境変化に商いの次世代化で対応するため、主導権を持つ原料起点のバリューチェーン構築、新たな流通チャネルへの参入に取り組んできた。原料起点ではファッションアパレル部門がフィンランドの森林業界大手、メッツァ・グループと共同出資でセルロースファイバープラントを建設しているのもその一つ。「来年はまだサンプル段階だが、注目されている」と言う。「ライクラ」にも期待する。

 新たな流通チャネルではネット通販(EC)関連の取り組みも進めた。ブランドマーケティング第一部門では事業会社のジョイックスコーポレーションの売上高に占めるEC化比率が前期(2019年3月期)の13・8%から今上期は15・4%に上昇。コンバースフットウエアもEC売上高は前年比6割近い伸びを示す。同第2部門が扱う米フュージョン社の3D画像自動化技術も、自動車やフード、インテリア業界に広めていく。

 「百貨店中心のビジネスからのパラダイムシフトが進行中」とし、新たな次世代ビジネスとして「リテールサポート機能の提供も進めていく」考えだ。これは同社の知見とテクノロジーを融合させ、顧客の課題解決を図るもの。人工知能(AI)ベンチャー企業とのAIを利用した需要予測は、レリアンで実証実験している。世界最大規模のB2Bマーケットプレイス「ジョア」との提携も新ビジネスとして有望。

 「事業会社の三景、ロイネ、ユニコなど堅調に推移する。アパレルOEMもセレクトショップやワーク系に販路を広げて拡大。来年は連結経営を重視し、企業管理に力を入れながら、組織の若返りも図っていく」と、ビジネスの次世代化をさらに進める。