詰め襟学生服の“いま”(中)/次世代に向けた商品開発
2019年12月19日 (木曜日)
詰め襟服の市場が縮小する中、各社は店頭向けで次世代を意識した詰め襟服の開発を強化している。
ニット化はその一つの流れで、トンボは、ニットの詰め襟服を新たな柱に育てる。ポリエステル100%でストレッチ性が高く丸洗いできる「ビクトリー」や、ウール15%混で抗ピリング性や耐久性に優れた素材「ミラクルニット」を使用した制服を打ち出している。特に後者は、3年間の着用に耐える織物に負けない強度をアピール。取引先や保護者の反応は非常に良く「織物より好調」(阿部本部長)と言う。
明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC)もニットの詰め襟服でポリエステル100%の「ラクラン」の販売に手応えを感じている。伸縮性やイージーケア性が高く、見た目も織物に近づけており、今後も訴求する。江藤部長は「直営店を中心に引き合いは増えている」と話す。
ニットの詰め襟服の先駆けは児島(岡山県倉敷市)で、ポリエステル100%の「REVO―3(レボ―3)」が14年にキッズデザイン賞を受賞し、西日本を中心に堅調。ニット化による“ストレスフリー”の流れが続きそうだ。
シルエットのスリム化でパターンの見直しも進む。ニットではないものの、明石SUCはストレッチ性があり3Dパターン採用で肩と腕の可動性に優れた「スマートワン」の付加価値で単価アップを図る。オゴー産業(同)も、着心地とスタイルを進化させたポリエステル100%が中心の「鳩サクラネオ」の販売に集中する。
詰め襟服特有の上質感の追求も各社の課題。菅公学生服は20年入学商戦に向けて、トリアセテートを使用しナノレベルの染色で深い黒色を実現した「カンコーインフィニスタ スマート&ブラック」を打ち出す。同商品のテーマは「格好良さ」だが、その他着心地やイージーケア性などの特徴ある詰め襟服で「地域特性、戦略に合わせて訴求する」(三宅部長)と、ここ数年でも詰め襟服は進化を続けている。