桑村繊維/「新たな生地作り続ける」/規模追わず利益重視

2019年11月13日 (水曜日)

 播州織産地の産元、桑村繊維(兵庫県多可町)の桑村達郎社長は、同産地の現状を「今までにない苦しい局面が続いている」と述べ、反転攻勢の策として「苦境の中でも新たに魅力的な生地を絶えず作り続けることが重要」と強調した。

 2019年9月期は売上高、利益ともに前年を下回った。桑村社長は「店頭の低迷に業績不振の理由を見いだすのは簡単だが、当社の生地の魅力が足りなかった、あるいは十分に伝わらなかったことが本当の要因」と総括し、「この産地で生地を作り、売る立場として、活性化に寄与できなかったことに責任を痛感している」と話した。

 20年9月期は国内、国外とも先行き不透明な状況が続いているため今期と同規模の業績を予想する。「備蓄販売で、新たなモノ作りを続けながらも、在庫処分を減らし、業績の規模を無理に追わずに利益を残せるビジネスを増やす」と利益に重点を置く方針。

 海外販売では、中国・東南アジア、欧米市場での販路開拓を強化する。海外での展示会は仏・パリ、米・ニューヨークで開かれる「プルミエール・ヴィジョン」展を引き続き活用する。中国では「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス」展に継続出展する。

〈先染め苦戦で減収減益/19年9月期〉

 桑村繊維の2019年9月期決算は売上高82億円(前期比5・0%減)、経常利益4億4600万円(24・7%減)、純利益3億4千万円(6・7%減)と減収減益だった。

 国内衣料品市況の冷え込みから、綿先染め織物を主力とする部署の苦戦が大きく影響した。一方、合繊を主体とする生地では、スポーツに限らずファッション衣料でも機能性を重視する傾向が広まったことなどが追い風となり、前年より業容が拡大した。売り上げに占める販売形態の比率は備蓄品4割、別注品6割と前期と同じだった。「実感としては別注が増えている」(桑村社長)

 上海法人による中国内販及び第三国輸出や国内から海外への輸出は堅調で、業績を前期より伸ばした。売り上げに占める輸出額の割合は前期から2ポイント上昇し16%になった。