三菱ケミカル/トリアセテートで持続可能性深耕/森林保護団体などと提携へ

2019年11月12日 (火曜日)

 三菱ケミカルは、トリアセテート長繊維「ソアロン」が持つ持続可能性をさらに追求する。原始林保護の解決策を提示する非営利団体と提携の準備を進めているほか、スイスのブルーサインテクノロジーズとシステムパートナー契約を締結した。環境負荷低減の取り組みの強化で時代の要請に応えると同時に、企業姿勢を顧客に示す。

 ソアロンは、天然の樹木からできるパルプを組み合わせた半合成繊維だが、再生を保証するプログラムにより持続可能な形で管理された森林から調達した木材を使う。2017年には国際非政府組織(NGO)の森林管理協議会によるFSC森林認証を富山事業所(富山市)フィラメント工場で取得した。

 サステイナビリティー(持続可能性)への取り組みは一層深める。「環境負荷低減に貢献する商品しか売れなくなるのが当たり前の時代になっている。顧客も環境対応を強く求めており、それに応える」と強調。同時に「三菱ケミカル自身が環境への取り組みを深めなければならないと捉えている」ためと言う。

 準備を進めているのが、非営利の森林保護団体であるキャノピーとの提携。同団体は、ソアロンなどの繊維の原料となる木材が、古代森林や危機にひんした森林から調達されていないか視察し、違法な伐採をしていないことを証明する。早ければ19年中に連携を始める。

 そのほかブルーサインテクノロジーズとシステムパートナー契約を交わし、より安全な繊維素材を顧客に届けることを可能にした。

 環境対応素材ではソアロン100%の「ソアロンティス」やGRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)認証を取得したポリエステルとソアロン複合などが注目される。

 サステイナビリティーを前面に押し出し、販売拡大につなげる。「19年に入ってからは海外顧客のほとんどがエコロジーを求めるようになった。一過性では終わらない」とみる。ソアロンは、機能性と創造性も持ち、耐洗濯性や防シワ性などを訴えるほか、プリーツ加工が可能なことも顧客に伝える。