三菱ケミカル テキスタイルグループ/「アイアス」「ティス」重点投入/エコ訴求し制服で拡販

2019年10月29日 (火曜日)

 三菱ケミカルのテキスタイルグループは2019年度上半期(4~9月)、主力のトリアセテート「ソアロン」の国内販売で苦戦を強いられたため、グループトータルの販売量は伸び悩んだと言う。しかし、元々下半期への依存度が高い事業構造をしているため、「下半期で取り戻す」(坂本宜士グループマネジャー)と20春夏商戦に臨んでいる。

 同グループによると、上半期は市況低迷に伴い国内販売が苦戦したほか、欧州連合(EU)輸出も低調だった。イギリスのEU離脱問題などに伴う景気低迷で、EU向けでは客数に増減はないものの、「それぞれのお客さんが買い付けを絞っている」ことが影響した。

 一方、対中輸出は当期も好調を維持し、2桁%近い増販を達成した前年上半期の勢いを今も維持している。

 ソアロンは元々、春夏依存度が高く、サステイナビリティー(持続可能性)への関心が高まっていることやトレンドが多少フェミニンな方向へ振れていることが「今後、追い風になる」とみており、下半期は婦人服地やユニフォームなどでの拡販を通じ挽回を目指す。

 20春夏に向けては、「アイアス」に代表される麻調の素材群が引き合いを集めており、このゾーンの商品群を伸ばすとともに、100%使いでソアロンならではの質感、表情を強調した「ソアロンティス」(写真左)を重点的にプロモートする。苦戦が続くニットでは、綿混やカジュアルなタッチ・風合いを強調した素材群をラインアップし、てこ入れを急ぐ。

 「プルミエール・ヴィジョン」などでソアロンのサステイナブルな特性を訴求する販促を続けてきた結果、「ソアロンのイメージがだいぶ浸透してきた」と言う。

 EU高級ブランドでショップ店員用の制服に中肉織物が採用されるなど、ユニフォームへの広がりに期待を示し、国内販売も含めてユニフォームでの取り組みに引き続き力を入れる。ユニフォームでは、再生ポリエステル「エコルナ」を複合した商品群の増強とも取り組んでいる。