三菱ケミカル 繊維素材事業部/中国電子モールとコラボ/4社7ブランドから「セルウォーム」

2019年10月24日 (木曜日)

 三菱ケミカルの繊維素材事業部はボンネル事業で中国内需狙いの販促に力を入れており、大手電子モールとのコラボレーションをこのほど立ち上げた。4社7ブランドを通じマイクロタイプ「ミヤビ」や静電タイプ「コアブリッド」を19秋冬から投入。トリアセテート「ソアロン」による春夏でのコラボレーションも計画する。

 同社はこの夏、アリババグループの電子モール「Tモール」と覚え書きを締結した。Tモールとの共同で開発した暖か肌着用の静電素材「セルウォーム」をプラットフォーム共通の戦略素材として投入。Tモールに出店する「マニフォーム」「猫人」「バナナイン」といった4社7ブランドがセルウォームで商品化した高級婦人肌着や保温肌着などを19秋冬から販売する。

 紡績糸の企画・生産までを三菱ケミカルが外注工場で手当てし、それ以降を山東省に染色工場、縫製工場を構える上海絲誠実業が担当する。来年からはメンズやキッズ、スポーツへも用途を広げる。

 同社にとっては初めてのビジネスモデルではあるが、「相当量の『ボンネル』の販売を期待できる」(河﨑隆雄執行役員高機能成形材料部門繊維本部繊維素材事業部長)とし、春夏アイテムをターゲットにソアロンを生かした取り組みも検討している。

 ボンネルでは、中国のインナー・肌着市場に売り込んできたミヤビの販売が順調に拡大していると言う。コアブリッドは海外からも引き合いを集めており、米国の手芸用途(セーター、マフラー)を開拓。高機能繊維との複合素材が特殊な環境で着用されるユニフォームにも採用されている。

 自動車用吸音材向けには超極細アクリル「XAI(サイ)」を導入。不織布を自動車メーカーやパーツメーカーに提案し、それぞれとの共同開発が進行している。吸音材用の不織布にサイをミックスすることで得られる吸音性能の向上、吸音材の軽量化などが評価され、自動車メーカー数社がテストを続けている。三菱ケミカルは、19年度中に販売を開始し「来年度以降の拡販を目指したい」と考えている。

〈ソアロンをユニフォーム・アスレジャーに〉

 ソアロンでは、9月下旬に開かれた「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2019秋」に出展したところ、同社ブースには多くの来場者が詰め掛け、入場制限するほどの大盛況だったと言う。

 スポーツ系のアイテムで採用されることが決まるなど、中国では「オンリーワン素材として認知度が高まっている」と見ており、今後も用途拡大を推進。欧州高級ブランドの制服、中国・航空会社のユニフォームに既に採用されており、ユニフォームやアスレジャーでの拡販を計画する。