伊藤忠/3D採寸に参入/深センベンチャーと提携

2019年10月10日 (木曜日)

 伊藤忠商事は人工知能(AI)による3D身体採寸技術を活用し、アパレルサプライチェーンのデジタル化を進める。消費者一人一人に適切なサイズの衣服を提供することで、在庫削減やネット通販での返品率低減を目指す。

 AIベンチャーの深セン市図シツ創新科技(トウジ)と資本・業務提携することで基本合意したと9日発表した。トウジの採寸システム「ワンメジャー」は、着衣のまま正面、側面2枚をスマホで撮影。そのデータからAIで輪郭・体形を曲線で予測し、3Dボディーを作成する。自社測定による採寸精度は98・7%と高い。パターンの自動作成や3Dアバターによるバーチャル試着もできる。

 出資は伊藤忠本体が行うが、事業主体は香港繊維子会社、伊藤忠テキスタイル・プロミネント〈アジア〉(略称IPA)が中心になる。2018年4月にIT部門を設置し、ファッションとITを融合したファッションテックのパートナーを隣接する深センで発掘していた。トウジとの提携はその第1弾となる。

 IPAはベトナム子会社内に「アセアンR&Dセンター」を設けるなど、繊維カンパニーファッションアパレル部門が進める「主導権を持った原料起点のバリューチェーン構築」で川中・川下段階で重要な役割を担う。ここに3D採寸などデジタル技術を組み入れることで、「商いの次世代化」を図る。

 将来的にはヘルスアケアやゲーム・エンターテイメントなどファッション以外の領域にも活用していく。