東レ ウルトラスエード/2桁%の増販 計画/エコ比率さらに拡大
2019年07月26日 (金曜日)
東レのウルトラスエード事業部は2019年度(20年3月期)も、カーシートやコンシュマーエレクトロニクス中心の販促を強化し2桁%の増販を計画する。開発をこの間強化してきた「ウルトラスエードRX」のようなエコ素材を重点的に打ち出し、40%前後まで引き上げてきたエコ素材比率の上乗せを目指す。
同社は現在、ウルトラスエードの増設を進め、約60%増となる年産1千万平方メートル体制を9月に稼働させる。
19年度は、立ち上がりで多少もたついたが、6月から昨年並みのペースに回復させ、「7~9月期から上向きそう」(川田昌史ウルトラスエード事業部長)とみる。
米中貿易摩擦などの影響でグローバルな自動車市場では減速感が強まっているものの、19年度も米国や中国の電気自動車を中心にカーシートで新しいプログラムを獲得できたと言う。
高級車を中心とする需要増、カーシート以外へも人工スエードを採用する部位が広がると予想する。これらを背景に19年度もカーシート向けの拡販に手応えを示す。
カーシートでは、本革からの代替に意欲を示し、次の柱素材への育成を目指す銀付き調「ウルトラスエード・ヌー」を打ち出す。ヌーは既に、マツダのフラッグシップモデル「マツダ・アテンザ」のインパネ、ドアパネルに採用されている。
東レは、極細糸を再生ポリエステルで商品化したウルトラスエードRX▽極細糸に部分バイオポリエステルを導入した「同PX」▽極細糸、ポリウレタン、スクリム(補強材)を部分バイオ化した「同BX」――という3タイプのエコ素材を販売する。
国内外のファッションやインテリアのユーザーの反応がいいとして、今後も3素材を前面に押し出しながら、コンシュマーエレクトロニクスや雑貨、靴向けに展開するスクリムなしのウルトラスエードでも再生ポリや部分バイオ使いのラインアップの拡充を急ぐ。
東レは衣料素材の開発、企画提案にもこだわり、新しい加工を毎シーズン導入し衣料素材の幅出しを進めてきた。エヌシー産業と共同開発したドリル加工を「プルミエール・ヴィジョン」や「ミラノ・ウニカ」で専用コーナーを設け提案したところ、多数のピックアップがあったという。20秋冬では商品ラインをさらに充実させ、国内外への販促に取り組む。