この人に聞く/東レ 不織布事業部長 松下 達 氏/1千億円達成にめど

2019年07月24日 (水曜日)

 2019年度(20年3月期)で現・中期経営課題を終える東レ。不織布事業では、他部門を含む不織布トータルの売上高を1千億円に引き上げる中期戦略を進めている。しかし、爆買いの一段落によって紙おむつ市場が減速。自動車関連市場からも勢いが失われている。中期課題最終年度をどう“かじ取り”していくのか、松下達不織布事業部長に聞いた。

  ――本年度4~6月期はどうでしたか。

 全体的な市場の動きは弱含んできています。中でも、自動車の減産が続く中国市場が低迷しています。当社も昨年よりはちょっとしんどい状況ですが、4~6月期の予算はクリアしました。

  ――紙おむつの伸びが一段落しているようですが。

 この間、われわれにとって紙おむつは期待の成長市場でした。ところが、ポリプロピレン(PP)スパンボンドやポリエステル短繊維で大増設が続き、現状ではややモノ余り気味の状況を迎えています。一方、中国では電子商取引(EC)が規制された影響で紙おむつの需要増に急ブレーキがかかりました。下半期以降の回復に期待していますが、上半期いっぱいは今の状態が続くとみています。しかし、中長期的に中国の、特にプレミアムゾーンでは需要増が続きます。20年度からの中期経営課題でどう取り込んでいくのかを議論しています。

  ――次世代型の紙おむつ素材の開発に力を入れてきました。

 かなり方向性が見えてきました。お客さまとの守秘義務があり今は何も言えませんが、何とか来年中に販売したいと考えています。PPだけでなく他素材、例えばポリ乳酸(PLA)などを視野に入れた開発も進めています。ドイツで開かれた「テクテキスタイル」展には、ソフト感を引き上げたPLAをアンテナ的に出展しました。

  ――ポリエステル「アクスター」やポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維「トルコン」はいかがですか。

 アクスターに昨年ほどの勢いは感じられませんが、今年も伸ばします。そろそろ増産対応も考えなければ、のタイミングを迎えています。トルコンでは中国勢との競合を避けるため、細物へのシフトに取り組んでいます。主力の中国市場は、ようやく市況が底打ちしました。

  ――1千億円を達成できそうですか。

 米中貿易摩擦などで足元の状況が弱含んでいることは否定できませんし、先行きを見通しにくくもなっています。しかし、最近の販売状況を見ていると、ほぼいけるなと感じています。