ITMA2019/アツギとロナティ/シューズ開発で技術提携/2年以内に事業化へ

2019年06月25日 (火曜日)

 【バルセロナ=星野公清】アツギとロナティは21日、シューズ開発での技術提携に合意した。スペイン・バルセロナで26日まで開かれている国際繊維機械見本市「ITMA2019」の会場で発表した。

 アツギは丸編み機によるシューアッパーの開発着手を4月に発表しており、今回の技術提携で取り組みを加速させる。ロナティの編み機の技術とアツギの企画力・製造力を組み合わせ、靴下メーカーならではのシューアッパーを開発し、2年以内の事業化を目指す。

 今回の提携は(1)ロナティのシューアッパーに関する技術の共有(2)デザインに関する情報の両社での共有(3)特許での相互協力(4)原料開発での相互協力――を含む。

 ロナティがアパレルと技術提携するのはシューズでは初で、エトレ・ロナティ社長は「ロナティの技術とアツギの企画開発力を組み合わせて、新しい製品を開発していくことは大きなメリット」と話す。ロナティ社長によるとアツギは靴下やメディカルでロナティの編み機を1200台導入しており、今後はシューアッパーが加わる。

 アツギの工藤洋志社長はシューアッパーの開発着手について、「これから先を見据えて新しい取り組みを始める。アツギが持つ丸編みの技術の強みを発揮できる分野」と話す。最初は部材としての販売を見込むが、将来的にはシューズとして販売し、足回りのトータル提案につなげることも視野に入れる。

 シューアッパーの開発では差別化を重視。現在市場に出ている丸編みのシューアッパーはシングルシリンダー機が多いが、同社はダブルシリンダー機でデザイン性の高い開発を軸にする。

〈日阪製作所/大容量・節水型の新機種/従来比50%の低浴比化を実現〉

 日阪製作所は液流染色機「サーキュラー」の新機種として「CUT―ZR」をITMAバルセロナで発表した。「ITMA2011」以来8年ぶりの新機種発表で、大容量化、節水を実現した。

 CUT―ZRは新構造の採用により、省エネルギー、高品位、高生産性、省スペースなどの特徴を持たせつつ、大幅な浴比低減を実現した。例えばポリエステル織・編み物では浴比1対4~6とし、前機種比で最大50%の削減に成功している。中厚地2本通し加工を可能とし、時間当たりの生産性を2倍に向上させながら、シワやスレ、アタリなどの染色トラブル解消に貢献。合繊から天然繊維まで幅広く対応する。

 竹下好和社長は、ユーザーからのニーズが高まっている液流染色機の大容量・低浴比化について、「トータルで見て環境に貢献する商品を開発していくことが重要」と言う。生産の安定性や生地の品位を確保した上での低浴比化を特に重視しており、「品位が保てず再加工が増えると結局は水やエネルギーの使用量が増えてしまう。ミスなく染色することを前提に低浴比化や省エネなどを実現していく」と説明する。

 水を全く使用しない超臨界二酸化炭素染色機についても、残染料のCO2による洗浄など従来の課題を解決する開発を加速している。