特集「ITMA2019」プレビュー(2)/見どころ多彩な有力出展企業

2019年06月14日 (金曜日)

〈ボルテックス新型機初披露/村田機械〉

 村田機械は今回のITMAで渦流精紡機「ボルテックス」の新型機「ボルテックス 870 EX」を初披露する。

 2011年のITMAバルセロナで発表した現行機種「ボルテックスⅢ870」は好評を得て、累計納入台数は2千台を超えた。紡績可能素材や用途も拡大しており、まずはレーヨンを中心に導入が進んだが、近年はポリエステルや綿などさまざまな素材に広がっている。今回披露する「ボルテックス 870 EX」は生産性をさらに高め、最高紡績速度・毎分550㍍(現行機種は毎分500㍍)を実現した。

 今回展では高速性を保ちながらの工程短縮の提案も行う。これまで3回必要だった練篠回数の削減を実現したもので、会場ではこの方法によるスライバーでの実演を行う。

 自動ワインダーでは「プロセスコーナーⅡ」シリーズの最新機種である「QPRO EX」「FPRO EX」を紹介する。前機種の強みを生かしつつ、さらなる自動化や省エネを実現している。

 新たな提案ではカーボンナノチューブ(CNT)紡績糸を紹介する。CNTは長さが数百¥文字(G0-ACA3)㍍、直径が数¥文字(G0-AC88)㍍という炭素物質で、半導体や燃料電池、軽量高応答ヒーター、軽量化電線などさまざまな分野での応用が期待されている。この極めて小さな物質を同社が培ってきた紡績技術により糸状とした。会場では、CNT糸や銅めっきCNT糸、ニットサンプル、リボンのほか、島精機製作所との協業によるCNT糸を編み込んだウエアラブルセンサグローブを展示する。

〈ナイロン専用の延伸仮撚機/TMTマシナリー〉

 TMTマシナリーは新開発のナイロン専用高速延伸仮撚加工機と、TMT神津の高性能リワンダー「ワインディング マスター」を実演展示する。省人化に寄与する工場の自動化システムの構想も紹介する。

 同社の延伸仮撚加工機はこれまでポリエステルでの採用が多かったが、新たにナイロン専用機を開発し、今回展で披露する。糸道を短縮してさらなる低張力での加工を実現するなど従来機の強みを生かしながらも、ナイロンでの品質安定・向上に寄与する機種としている。

 「ワインディング マスター」はグループ会社のTMT神津とTMTマシナリーの技術を融合して開発した商品。独自の接圧機構、給糸システム、精密トラバース制御など各面で新しい技術要素を取り入れ、さらなる品質の安定・向上と幅広い素材への対応を実現した。ポリエステル、ナイロン、レーヨンなどの各繊維で、FDY、DTY、ATY、撚糸、カバーリング糸、モノフィラメント、染色用ソフト巻き、ラウンドショルダー、高密度巻きなど多種多様な糸種・パッケージに対応する。

 今後に向けては各機種のさらなる技術進化を図るとともに、省人化へのニーズに応える工場の自動化システムの開発にも注力する。単なる自動搬送にとどまらず、同社の強みを生かした総合的な自動化システムとする構想。現在各ユーザーとの話し合いを重ねながら構想を固めている段階で、ITMA会場では大枠のイメージを紹介する。

〈精紡機、AJ織機にコンセプトモデル/豊田自動織機〉

 豊田自動織機はエアジェット(AJ)織機の主力機種「JAT810」の実演展示に加え、AJ織機、精紡機で新たなコンセプトモデルを披露する。

 各モデルについて同社は、「優れた糸特性を持ちながら、生産性・省エネ性能を大幅に高めた画期的な精紡機」「オートメーション・スマートファクトリー、エコテクノロジーの進化を見据えた次世代モデル」のAJ織機としている。

 世界トップシェアのAJ織機「JAT810」も出展し、高速化・高品質を両立する独自の電子開口でタオルやカーシートを、広幅2重ビームのドビー開口でカーテンの製織実演を行う。色や太さなどを自由自在に切り替えられる独自糸「モザイクヤーン」を使った生地も展示する。2030年ビジョンに掲げる「クリーン・ゼロエミッション」「安心・安全、快適」「スマート」を軸に今後も開発を続ける。

〈フラッグシップ機で製織実演/津田駒工業〉

 津田駒工業は「ITMA2019」でエアジェット織機「ZAX9200i MASTER」を展示する。

 前回展で初披露され、当時最速の2105回転を記録して注目された同機種は、ソレノイドバルブ一体型補助メインノズルと新型サブノズルの組み合わせによる高速安定緯入れ、「i―weave」や「DSS―Ⅱダイレクトサブノズルシステム」による空気消費量削減など独自技術を各所に盛り込んでおり、現在も販売台数を伸ばしている。

 今回は会場で工業資材用織物(190㌢幅、積極カム)、インテリアクロス(190㌢幅、電子積極ドビー)、高品質バスタオル(280㌢幅、電子ジャカード)の製織を実演する。

 同社は今年が創業110周年となる。今後も長い歴史で培った技術を基に、特に生産性、省エネ、省人化を重視して革新織機開発に取り組む。

〈デニムの捨て耳削減/イテマ〉

 イテマは、レピア織機「R9500」をマイナーチェンジし、「R9500―2」として披露する。オイル循環システムとメカ機構を見直すとともに、空冷だったメインモーターに油冷システムを採用し、電力消費量を従来機種比10%削減したことが大きな特徴。

 デニム用レピア織機の「R9500デニム」もマイナーチェンジし、「R9500―2デニム」として発表する。電力消費量を10%削減したことに加え、給糸側の捨て耳を不要にする「iセーバー」を搭載したことが注目されそうだ。従来は生地の両端に捨て耳が必要だったが、片方が不要になる。

 さらに、「未来の織機」として「ディスカバリー」を披露する。同社日本法人もまだ詳細を知らされていないが、エアでもウオータでもレピアでもプロジェクタイルでもない、「フライング・シャトル」と呼ぶ全く新しい緯糸挿入方式を採用しているという。

 「パンター」ブランドで知られるイタリアのレピア織機メーカー、PTMT社の産業資材用レピア織機2機種、「ヘラクレス」と「ユニラップ」も紹介する。今春同社と業務提携し、産業資材用の両機種を、イテマが新設した「イテマテック」部門のチャネルで販売することになった。

〈電子開口と積極レピア披露/ピカノール〉

 ピカノールは最新のエアジェット(AJ)織機「オムニプラス―i」、レピア織機「オプティマックス―i」、タオル用レピア織機「テリーマックス―i」、タオル用AJ織機「テリープラスサマム」を実機出展する。AJ織機では新開発の電子開口装置「スマートシェッド」を、レピア織機ではガイドレス積極レピア方式を披露する。

 オムニプラス―iは再設計されたリードモーション、最適化されたリレーノズルに、新たに開発した電子開口装置「スマートシェッド」を搭載。同社のAJ織機の新たなベンチマークと位置付ける。展示会場ではカーシート地の製織を実演する。

 一方、レピア織機のオプティマックス―iは従来のガイド付き積極レピア方式に加えて、新たにガイドレス積極レピア方式を披露。こちらはインテリアファブリックの製織実演で高い汎用性を打ち出す。

 「スマートパフォーマンス」「サステイナビリティー・インサイド」「ドライブ・バイ・データ」「インタラクティブ・コントロール」をテーマに自己学習などを取り入れた制御システムや省エネ・廃棄物削減、モノのインターネット(IoT)対応、操作性向上の装置などを大規模に導入した。

 日本のユーザーにはピカノールの日本代理店であるエディーが提案を進める。

〈経通し機の新機能訴求/ストーブリ〉

 ストーブリは、自動経通し(ドローイング)機、「サファイア」の新型機「S60」を昨年の「ITMAアジア」展で披露した。今回のITMAでは、それに搭載した「アクティブ・ワープ・コントロール」(AWC)の機能を改めてアピールする。また、電装システムを一新したジャカード機を披露する。

 従来は、番手や素材が異なる糸を同時に経通しすることができなかった。ところがサファイアS60のAWCにはカメラで糸を監視する機能があり、異番手、異素材の糸の経通しを同時に行うことを可能にする。インターネットにつなげて、経通し時にどのようなミスがどこで発生したかなどのデータを蓄積することもできる。この情報は、消耗品の交換時期を決める際の目安などになるだろう。

 同社はジャカードを、「SX」「LX」「LXL」「LXXL」の4機種販売している。これらの電装は、三つの基板で構成されていた。これを、「ノエミ」と呼ぶ統括基板と、分配と個別モジュール制御を合体させた「SMC」と呼ぶ基板の二つで構成する形に変える。これによって処理スピードが上がり、誤検知も減る。SMCにLEDインジケーターを付け、不良個所を点灯して知らせる仕組みも導入する。

〈伊藤忠システック/欧州の最新機器を日本に紹介〉

 伊藤忠システックは、同社が輸入販売する欧州の繊維機械メーカーの提案を「ITMA2019」でも支援する。日本からの視察ツアーを協賛するほか、バンデビーレのブース内にスペースを設け、ツアーの顧客を対象に商談のサポートも行う。

 同社が輸入販売する繊維機械ではドルニエが新型のレピア織機「P2」を披露する。特色である積極方式棒レピアに加え、緯糸カラーセレクターの小型化や、緯糸二本引きそろえのよじれ防止など新技術を発表する予定。

 ザームの合繊ワインダー用オートドッファー・自動搬送システムも注目。ロボットが自動で玉揚げ・ボビン交換と搬送を行う。合繊工場の新しい自動化ソリューションとして打ち出す。

 バンデビーレグループのボーナスは最新のレピア織機用電子ジャカード「Ji」を実機出展。独立駆動方式「スマートドライブ」や、ガントリーレスで織機に直接搭載する方式なども紹介する。

 バンデビーレはカーペット分野でも紡糸から縫製まで一貫のソリューションをそろえる点をアピール。経糸自動供給機構「スマートクリール」や、経糸を個々に張力制御することで経糸に異種異番手を使える「ファストクリール」を紹介する。ファストクリールは連続経糸給糸での製織も可能にすることで注目を集めそうだ。コブルの新型タフト機「カラーテックL+」も披露する。

〈新設計のシングルニット機披露/福原産業貿易〉

 福原産業貿易は新設計のシングルニット機を含む実機5台を展示し、技術力をアピールすると同時に、需要が高まるマットレス生地向けで豊富なラインアップを打ち出す。

 新機種としてはシングルニットの高速レースウェイ編み機「OD7―M2XC―A3・2RE」を披露する。開反巻き取り機構、フレーム、編成部分全てが最新仕様となっており、スピードファクター(SF=口径×回転数)は1350を実現。省エネ性能も前身機から20%向上している。

 ダブルニット機ではトランスファー付き電子柄編み機「M―LEC7EP」を提案する。目写しにペレリンジャックを採用することで従来よりも薄地に穴開き調の電子柄編みが可能になった。

 そのほか需要が高まるマットレス生地向けダブルニット機3台を出展する。多給糸切替機能付き両面選針柄編み機「M―LEC4DSCFY5」は4色までだった色切り替えを5色に拡大。ウェルトステッチキャンセル機構によりウェルト針に対してステッチしない機構を追加した。両面選針電子柄編み機「M―LEC7DSI」は電子柄編みでも28ゲージを実現し、より織物調の生地を生産できる。電子柄編み機「M―LEC7BSH」はマットレス生地に特化した専用機。多給糸・高速稼働でSF900を実現した。

〈ウエアラブルの可能性も示す/島精機製作所〉

 島精機製作所は「ニッティファイ・ザ・ワールド―スマートソリューション・イン・テキスタイル」をテーマに最新のコンピューター横編み機、「ホールガーメント」(WG)横編み機、デザインシステムを総合的に提案する。ウエアラブルでもニットの可能性を示す。

 3Dデザインシステム「SDS―ONE APEX3」は最新バージョンを紹介。高度なシミュレーション機能によりサンプル作成の時間、材料、コストを削減するだけでなく、同社のコンピューター横編み機やWG横編み機と組み合わせることでリードタイムの短縮が可能になる。さらにユーザーの“スマートサプライチェーン”を支援するITソリューションとしてトレンドアーカイブ「スタッフ」、生産管理システム「シマニットPLM」も紹介する。

 ウエアラブル分野でもニットの可能性を追求する。WG横編み機で金属繊維など導電性繊維を無縫製で編み込むことでスマートウエアやウエアラブルデバイスの生産が可能なことを紹介する。これによりファッションやシューズだけでなく医療、自動車、航空機といった産業用繊維分野にもニットの応用が可能になる。

 こうした提案を通じ、ニット産業の全てを網羅するソリューションプロバイダーとなることを目指す。

〈全工程で自動化提案/ロナティグループ〉

 イタリアの靴下編み機メーカー、ロナティはグループ企業とブースを構え、つま先自動リンキングから製品包装まで各種の工程自動化を提案する。

 ロナティはシングル、ダブルシリンダー機合計24機種の靴下編み機を出展。ダブル機の3口3色リンクス用、ジャカード柄リブ用編み機でつま先自動リンキング装置“SbyS”を搭載し、全モデルをSbyS搭載機とした。サントーニもシングル機でリブ編み可能な「トゥルーリブ」機のSTARモデルなど、ロナティがカバーしないニッチ分野でもSbyS搭載機を披露。グループでSbySの世界標準化を狙う。

 パンスト編み機はロナティが3機種で省エネモデルを、シームレス成形インナー編み機はサントーニが糸道一口当たり4個の選針アクチュエータを搭載する新モデル「TOP4J」を発表する。新分野として期待するシューズアッパー用も双方が編み機を出展。多様な製品サンプルも展示する。

 サントーニは自動縫製機でもパンスト用の新型トウクローザーや、ボクサーパンツ用に自動裁断後のマチ縫い付けを4本針フラットシーマで自動化した新モデル「ボクサーステーション」を発表。テクノペアは蒸気セットから製品自動包装まで編み立て後の工程の全自動化装置を出展する。

 ロナティのアジア総代理店であるユニオン工業も日本の業界関係者を募って展示会視察ツアーを企画し、新製品紹介に努める。

〈エアジェットノズルに省空間・省エネ型/阿波スピンドル〉

 繊維機械部品メーカーの阿波スピンドルは省スペース・省エネ仕様のエアジェットノズルを提案する。「TAシリーズ」は合成繊維紡糸機の延伸・糸加工工程のインタレスノズル、マイグレーションノズル向けに開発したもの。短ピッチによる省スペース化、空気流量の大幅削減に成功。既存の紡糸設備に部材交換で容易に導入でき、工場ランニングコスト低減に直ちに貢献する点も訴求する。

 主力品種として販売中のインタレスノズル「TA―1」タイプは、糸道の改良で従来品比約30%の空気流量削減を達成。ポリエステル、ナイロンに対応し、ピッチも4ミリと省スペース化を実現した。糸掛けも容易なため作業性も高い。

 TA―1をベースに新開発した「TA―2」タイプは同じくピッチ4ミリで空気流量も削減するほか交絡性能も従来品比で約1・5倍に向上。さらに同製品はマイグレーションノズルにも使用でき、両パーツの共通化で設備保守面でも効率化できる。既にポリエステル、ナイロンの幅広い糸種への対応を確認しているが、引き続き検証を進め、対応する糸種を順次拡げる。

〈広幅のカーペット用機披露/セトマ〉

 セトマは、カーペット用シャーリング機「X―PLORE XLS」を実演展示するほか、パネルやモニターでレース用やタオル用を含めて幅広い用途のシャーリング機、起毛加工機、表面仕上加工機、クリーニング機を紹介する。日本市場では東洋紡エンジニアリングが総代理店となり、同機種の提案を進める。

 セトマは170年の歴史を持つドイツの起毛加工機メーカーで、ドラム式起毛加工機を世界で初めて開発したことでも知られる。現在はスイスの起毛加工機メーカー、ボーデンワイダーと合併し、両社の強みを融合した開発を進めている。

 今回展で実機を展示する「X―PLORE XLS」は天然繊維から化合繊まで幅広い素材に対応するカーペット専用のシャーリング機で、最大5・6メートル幅に対応する(会場では5・4メートル幅で実演)。高品質の表面仕上を実現し、タッチパネル式の簡易操作で0・02ミリの精度でカット調整が可能。毎分50メートルの高速生産にも対応する。

 1台でスエーディングやエメリー加工など多様な表面仕上加工が可能な「X―TREME」シリーズも人気機種の一つ。ドラム式のロールを①サンドペーパー(24本)②サンドペーパーとブラシの組み合わせ③ブラシ④サンドペーパーと針布の組み合わせ――の4タイプに変更でき、多品種生産に対応する。ロール交換は数時間で完了する。

 日本では東洋紡エンジニアリングが17年9月からセトマ製機械の本格販売を始めた。起毛加工機の販売は旧新興産業から事業を引き継いだランペルティ製の販売で長い歴史を持つが、ランペルティがセトマに買収されたことから、現在はランペルティの部品販売とセトマ製機械の販売を手掛けている。

 ランペルティの起毛加工機は衣料用途が中心だったが、今後はセトマ製を衣料用途だけでなく、ホームテキスタイルや産業資材用にも拡販していく。今期からはカーペット(織製、タフテッド、ニードルパンチ)への営業活動を本格化する考えで、ITMAで紹介する「X―PLORE XLS」を中心に提案を進める。

〈ユーザーとの情報交換も重視/イズミインターナショナル〉

 イズミインターナショナルはガラス繊維や炭素繊維など伸度のない繊維の製織に欠かせないテンション制御装置、炭素繊維などフラット糸の緯糸挿入用フィーダーで豊富な実績を持つ。

 「ITMA2019」では映像資料を交えながらテンション制御装置「TOP1000」「TOP5000」、フラット糸緯糸挿入フィーダー「WF―510」などを紹介する。特にテンション制御装置は早くからデジタル制御方式を採用しており、操作性の高さも評価が高い。

 ガラス繊維織物は電子基板が主要用途であり、近年はスマートフォンなどが普及し基盤が薄地化・小型化した。このため極細繊度糸による製織の需要が高まる。こうした細繊度ガラス繊維の製織では、高度な張力管理が求められる。

 このようなニーズに応える装置として提案するほか、ユーザーとの情報交換や情報収集にも力を入れる。

〈存在感高まるデジタル捺染/染色加工・捺染機〉

 環境負荷低減への要請を背景に注目度が高いのが染色加工機・捺染機だろう。特にインクジェット(IJ)捺染機は存在感が高まる。

 東伸工業はフラットスクリーンとIJの長所を融合させたハイブリッド捺染機「iugo」の進化版を出展する。フラットスクリーンで地色やベースパターン、IJデジタル捺染が柄表現を分担することで高速・高彩度な捺染を実現した。このほかに、靴下用IJ捺染機「ギンガ」も世界初披露する。

 コニカミノルタはIJ捺染機「ナッセンジャー10」を実機出展。多品種・小ロット生産に迅速かつ低コストで対応できる点を打ち出す。ミマキエンジニアリングは昇華転写、捺染プリンターに特化して無水捺染を訴求する。セイコーエプソンは新型IJ捺染機「モナリザ・エヴォ・トレ」を披露する。64ヘッドのフラッグシップ機と16ヘッドのエントリー機を用意した。

 一方、染色加工機では日阪製作所が液流染色機「サーキュラー」の新機種「CUT―ZR―1L」を出展する。

〈日本ボールドウィン/印刷技術生かした加工機〉

 印刷周辺機器など製造の日本ボールドウィン(東京都港区)は新聞印刷の輪転機に用いる水スプレー装置の技術を応用し、テキスタイルにさまざまな薬剤を塗布する非接触式のスプレー塗布装置「TexCoatG4(テックスコートG4)」の国内販売に力を入れる。

 同社は米国ボールドウィン・テクノロジー・カンパニーの日本法人。ボールドウィングループとして出展し実機展示する。

 同装置は撥水(はっすい)剤、柔軟剤など低粘度の薬液を必要量だけ正確、均一に塗布できる。さらに片面、両面それぞれに必要な部分だけ薬剤の塗布が可能。厚手の生地であれば表、裏双方に異なる機能性を付与することもできる。しかも装置は既存設備への後付けも容易という。

 環境にも優しい。通常、生地に機能加工などを施す場合、所定濃度に調整した含浸槽に生地を浸し、処理液含浸率をコントロールする絞り装置を通して熱処理する。ただ、処理液濃度が時間とともに希釈され、薬剤の添加、入れ替えが必要で使用後は処理液を廃棄する。

 これに対して、テックスコートG4は適量を生地に塗布するため、薬剤を100%利用でき、ピックアップ率(未加工と浸漬後の生地重量差の比)も50%削減、水やエネルギー消費量も50%削減が可能とサステイナブル(持続可能な)後加工機でもある。日本では5月にソトー子会社の日本化繊(愛知県一宮市)が初めて導入した。現在、検討中の企業も数社ある。日本ボールドウィンの獅子倉雅人社長は「テックスコートG4によって、染色加工業界に貢献したい」と話す。