伊藤忠FA部門/独自のサステ素材訴求/19春夏に「レニュー」などを

2019年06月13日 (木曜日)

 伊藤忠商事繊維カンパニーのファッションアパレル(FA)部門は20春夏に向けて、素材をベースに製品と連動させたサステイナブル(持続可能な)提案を強める。投資や業務提携などによる独自のケミカルリサイクルポリエステル「レニュー」、製紙用パルプを原料とする環境配慮型セルロース素材「メッツァリヨセル」(仮称)などをそろえる。環境配慮、機能、新技術へのこだわりを訴求する。

 昨年から繊維原料課はオリジナル原料をグローバルに開発。ファッションアパレル課はその原料のブランディングを支援、セレクトショップやアパレルなどに素材特徴を生かして、よりファションアイテムに落とし込んだ形で提案する。「素材背景にこだわる顧客が増加。自分たちでグローバルに投資し、独自性のあるサステイナブル素材を開発、販売、製品に具現化していく」

 20春夏向けに開発した「レニュー」は、ケミカルリサイクルポリエステルだが、回収した中古衣料だけでなく、工場で発生したワタや残布も原料にする。服から服へというサーキュラーエコノミーの実現を目指す。中国企業と取り組んでおり、9月のプルミエール・ビジョンにも出展予定。30~450デニールで、薄地から厚地まで対応できる。

 フィンランドの紙パルプメーカーのメッツァファイバー社と共同開発したのが「メッツァリヨセル」。製造工程で環境や人体に害を与える化学溶剤を使わないのが特徴。「メッツァファイバー社はパルプを溶かす溶剤も独自開発し、世界初の画期的な製造方法を確立。来年1月にパイロットプラントが稼働する」。同社は森林も所有し、計画的に伐採・植林を行っており、トレーサビリティー(追跡可能性)も明確である。

 山東如意科技集団と共同で買収した米ライクラ社の「ライクラ」「クールマックス」などの機能素材、中国のパートナー企業と共同開発し、日本での独占販売権を取得した丸編み生地に液体アンモニア加工を施した「クリーンフィール」なども打ち出す。

 これらは13日まで、「マテリアルラボ」をテーマに伊藤忠商事(東京都港区)1階で開催中の「20春夏展示会」で紹介している。

〈伊藤忠/マーケットイン発想強化/「第8カンパニー」新設で〉

 伊藤忠商事は12日、7月1日付で「第8カンパニー」を新設し、現行の7カンパニーを8カンパニー編成とすると発表した。これによりマーケットインの発想を一段と強化する。

 市場や消費者の変化への対応を強化することが同カンパニー設立の理由。「多様な知見、経験を有した人材を選抜」し、マーケットインの発想で新たなビジネス、顧客の開拓を目指す。従来の商品機軸による部・課は設けない。

 同カンパニーのプレジデントには、食料カンパニーエグゼクティブバイスプレジデント兼食品流通部門長兼CP・CITIC戦略室の細見研介執行役員が就く。同社によると同カンパニーは、連結純利益300億円の規模で、約40人体制。