繊維は新材料 テクテキスタイル2019(5)/不織布強化、ブースで示す

2019年06月03日 (月曜日)

 東レは2020年3月期に不織布関連の売上高1千億円超(17年3月期に比べて40%強の増収)を目標に掲げる。同社は現中期経営課題で、初めて不織布の事業拡大を主要課題の一つに位置付けた。主力のポリプロピレンスパンボンド不織布(SB)だけでなく、わた売りも含めた短繊維不織布関連事業も強化し、繊維事業での将来の成長エンジンの一つに育成する戦略を組む。

 「テクテキスタイル2019」ではその姿勢を改めて示す形となった。前回展同様に、ブース前面に「ハイパフォーマンスノンウーブン」と称して、機能性不織布を提案していたからだ。

 機能性不織布としては、極細繊維によるニードルパンチ不織布を基布とする人工スエード「エクセーヌ」(産業資材用はエクセーヌブランドを継続)、ポリエステルSB「アクスター」、PPS繊維「トルコン」、吸音材向けナノファイバー不織布などを出品した。

 アクスターでは、主力のカートリッジフィルター製品に加え「探索中」(東レインターナショナル産業資材部の林隆二産業資材課長)とする壁紙用を提案。エンボスロールではなく、フラットロールで生産するという。トルコンは主力のバグフィルター用だけでなく、水素製造装置用のセパレーター用不織布を紹介していたのも面白いところ。

 一方、「エンバイロメントフレンドリー」と題したコーナーではポリ乳酸(PLA)SB(目付は1平方メートル当たり18グラム)も注目された。紙おむつのトップシート用で、滋賀事業場(大津市)に導入した独自のSB開発設備で生産しているという。詳細は不明ながら、PLAを原料とするため風合いが硬くなりがちだが、ソフトに仕上げた。

 もう一つの「ハイパフォーマンスファイバー」コーナーでは液晶ポリエステル繊維(高強力ポリアリレート繊維)「シベラス」、PPS繊維とPAN系耐炎繊維の複合による遮炎不織布「ガルフェン」に加え、メタ系アラミド繊維「アラウィン」を紹介した。炭素繊維以外の高性能繊維で先行する帝人のように、東レが高性能繊維のバリエーションを拡充していることがよく分かる。

 中でもアラウィンは帝人のメタ系アラミド繊維とは一味違う点が注目される。