三菱ケミカル/トリアセ拡販へ特徴前面に/持続可能性や耐洗濯性など
2019年05月15日 (水曜日)
三菱ケミカルは、サステイナビリティー(持続可能性)や機能性など、トリアセテート繊維「ソアロン」が持つ三つの大きな特徴を前面に打ち出し、販売拡大を図る。サステイナビリティーでは100%使いの生地の提案を強め、機能では耐洗濯性を訴える。新素材の投入に合わせ、20春夏での一層の成長を目指す。
サステイナビリティーはソアロンの特徴の一つ。原料供給元と協業し、再生を保証するプログラムにより持続可能な形で管理された森林から得られる木材を原料に用いる。富山事業所(富山市)フィラメント工場は適正な森林管理を承認する制度である「FSC認証」を取得している。
こうした特徴・特性は欧米のアパレルなどを中心に関心を集め、ドレス用途などで、ソアロン100%使いの生地が欲しいという要請も増えてきた。鮮やかな発色性とシルキーな光沢、適度なハリ・コシを持つ「ソアロンティス」をはじめとする質の高い生地もあり、積極提案を進める。
持続可能性とともに訴求を強めるのが機能性で、特に耐洗濯性を訴える。寸法安定性を持ち、縮みにくく、色落ちしにくいほか、ある程度の防シワ性も持っている。ただ、「ソアロンが家庭で洗濯できることはあまり知られていない」とし、顧客に改めて伝える。
創造性(クリエーティビティー)も優位点の一つで、その中でも注目は麻調の素材群。例えば、仮撚り意匠スラブは麻のような風合いを持ちながら、シワになりにくく、吸水速乾や耐家庭洗濯性といった機能も持つ。技術力を結集して生まれた“麻見え”素材には同社のモノ作りのノウハウが生かされている。
20春夏向けの新素材では、トップミックステックウール調織・編み物「エレコフ」を開発した。特殊な糸加工によって生まれたナチュラルな表情や質感、快適な着心地とイージーケア性などを持っている。婦人分野のほか、フォーマル分野にも展開する。
用途ではメンズの深耕に注力する。ビジネスやカジュアルのほか、ポケッタブルアイテムへの本格参入も視野に入れる。「ソアロンの紳士用途への販売は10%以下だが、採用は増えている。まだまだ伸びる余地はある」と今後の拡大に期待を示す。