三菱ケミカル/超極細「サイ」を吸音材に/フェーズ2狙い取り組み加速

2019年04月16日 (火曜日)

 三菱ケミカルの繊維素材事業部は自動車関連資材用途に参入するため、超極細アクリル短繊維「XAI(サイ)」による取り組みを強化している。吸音材でスペックインするため不織布での商品開発を急いでおり、2020年からの販売を目指している。

 サイは0・1デシテックス(3マイクロメートル)の超極細アクリル。レギュラーアクリル並みの耐薬品性、耐熱性だけでなく、優れた吸音性能を発揮する特徴を持つ。自動車に使われる吸音材用の不織布にサイを10%混入すれば、吸音性能を維持したまま不織布の目付を大幅に軽量化できるほか、大量に混入した場合は低周波に対する吸音性能を引き上げられると言う。

 同事業部は17年の「人とくるまのテクノロジー展2017」に初めて出展し、共同開発してきたパーツメーカーが生産するサーマルボンド(サイ50%・ポリエステル50%)による吸音材(写真)を紹介した。同展では、低周波領域にも吸音性能を発揮する優れた性能が注目され、「こういうのを探していたという反響が数多く寄せられた」(アクリル繊維グループ・小林秀章資材開発チームマネジャー)と言う。元々、欧州連合(EU)域で始まった車外騒音規制が現在は国連が主導する形で各国に広がっており、2016年度までのフェーズ1、20年度までの同2、22年度までの同3と段階的に規制が厳しくなる。

 同事業部は人とくるまのテクノロジー展に出展して以降、自動車メーカーが指定するパーツメーカー数社との共同開発を強化している。今のところ、実際の販売には至っていないが、求められる吸音性能、目付け、価格などを充足する商品バリエーションを構築し、フェーズ2の段階でスペックインを実現したいと考える。

 今年は5月下旬に横浜市のパシフィコ横浜で、7月中旬に名古屋市のポートメッセなごやで開催されるテクノロジー展に出展し、軽さを前面にアピールする。