特集 メディカル・介護ウエア2019(2)/2019年の注目商品/独自のウエアで市場を開く

2019年03月22日 (金曜日)

 メディカル、介護ウエアメーカー各社はそれぞれの得意分野を生かし、機能とデザインで特徴ある商品を打ち出す。2018年のヒット商品と19年の最新商品を紹介する。

〈癒やしをコンセプトに/サンペックスイスト〉

 サンペックスイストは2018年、ナースウエアと病院事務向けのウエアに共通モチーフを取り入れた「グロウイングナース」シリーズを発売した。同じモチーフのウエアで、病院全体に一体感を持たせる狙い。

 19年は第2弾として、全国でフラワーショップを展開する、日比谷花壇とコラボした花柄のウエアを加える。花が持つ癒やしの力に注目し、ナースウエアに採用した。生地は、軽量なストレッチツイルを使い、伸縮性が高く軽やかな着心地に仕上げた。同じモチーフを病院事務向けの「グロウ」のスカーフにも採用した。

 小児科や産婦人科向けには「ポケモン」のウエアを投入する。ナースジャケットのきちんとしたイメージとスクラブの機能性を両立した「スペリア」シリーズの販売も伸びている。

〈スクラブ生地のワンピース/フォーク〉

 フォークは、スクラブの生地を使ったワンピースを発売した。オフィスウエアの企画チームと共同で作ったウエアで、総合病院や歯科医院の受け付けでの着用を想定する。医師や看護師が着るスクラブとマッチし、病院全体で統一感があるウエアを提案する。

 10年以上前から、ユニフォーム業界に先駆けて発売したスクラブは「ジップスクラブ」「ワコール」「ディッキーズ」が好調に動く。ディッキーズは、米国発のカジュアルワークウエアブランド。「日本でブランドの認知が広がり、スクラブの売り上げの伸び率も大きい」(小谷野淳社長)

 このほか2018年に発売した、ポリウレタンを使わずに伸縮性を持たせた「ノンPUストレッチパンツ」も、ストレッチ性の高さとシンプルなカラーが支持されている。

〈「プロファンクション」拡大/ナガイレーベン〉

 ナガイレーベンは、動きやすさと涼しさが特徴の高機能ウエア「プロファンクション」の幅を広げる。2019年は、チーム医療に合う「HOMAREシリーズ」をはじめ、複数のブランドのウエアにプロファンクションの機能を盛り込む。

 プロファンクションは16年に発売した。医療現場では、患者をベッドや車椅子から抱き起こすときなど、両腕を伸ばす動作が多い。現場の動きを妨げないように身頃と袖を脇の下で一つにし、肩回りの負担を減らした。背中の上の部分にメッシュを使っているため、衣服内の空気が循環し冷却効果が高い。

 資生堂と共同開発したナースウエア「ブライトデイズ」も、自由診療のクリニックを中心にイメージを重視するユーザーに評価されている。

〈「アンパンマン」で親しみを/アプロンワールド〉

 アプロンワールドは、通院や入院する子供たちを勇気づけようと「アンパンマン」シリーズに新商品を加える。

 同社はアンパンマンのウエアを展開して今年で4年目になるが、当初の計画通りには広がらない状態が続いていた。企画担当者は「何が足りないかを考え直し、子供から見て目立つようにキャラクターの配置や大きさを工夫した」と説明する。

 新商品は、スクラブとスクラブ型のジャケット4型、エプロン4型の計8型。柄は、キャラクターをランダムにちりばめたり、医療器具とキャラクターを配したタイプなどを用意した。ウエアのアンパンマンを見ることで、注射などの治療に対する恐怖心を和らげる。エプロンは汚れた場合に頭を通さなくても衛生的に取り換えられるように、スナップを付けた。

〈原点見直しブラッシュアップ/アイトス〉

 アイトスは、国内外の医療現場で採用されているスクラブ「ホワイト プロス」エアースタイルシリーズを、原点から見直してブラッシュアップ。メディカルウエアに求められる厳しい条件をクリアするため、帝人の素材「ラチネα」を採用した。強度がありながら薄さと軽さを兼ね備え、肌触りもシルクのようにさらりと爽やかとなる。

 動きやすさ、使い勝手の良さなど機能性はもちろん、デザイン性や着心地にもこだわり、医療や介護の現場で働くスタッフを笑顔にするスクラブとパンツに仕上げた。

 体内の静電気を逃し、スパークの発生を防止する男女兼用の「静電超軽量メディカルシューズ」は、足の動きに合わせてフィットする反りのよいソールや通気性のよいメッシュ素材から好評。脱ぎ履きしやすいマジック留めなど、現場のスタッフの声を形にした超軽量仕様が特長となる。

〈空気触媒で衛生面にこだわり/セロリー〉

 セロリーの65531シリーズは衛生面にこだわったポロシャツ。身体介護などでは介護スタッフと利用者との距離が近くなることから、衛生面にこだわることが不可欠になる。空気触媒加工「ティオティオ」を施すことで、気になる汗の臭いや汚れを防ぐほか、繊維上の特定のウイルスの数を減少させる。

 介護現場からの声を基に製品化した「ケアカーディガン」は、屈みの姿勢などハードなケアワークに対応するためのこだわりのディテールを搭載した商品。従来のカーディガンは、ボタンを留めていなければ裾が広がり、作業の邪魔になることがあった。ケアカーデはボタンがなく、パターンの工夫によって前屈みのときも前部が広がらないようにすることで作業中のストレスを軽減。後ろ振りポケットは絶妙な角度と大きさで使いやすい。

〈立体裁断を施したおしゃれなデザイン/明石SUC〉

 明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC)の「ルコックスポルティフ」ケアシリーズのジャージーは千鳥柄のカジュアルテイストなデザインでありながら、背面ポケットや後裾リブなど機能面も充実したウエア。

 デサント独自のパターン設計「モーション3D」を導入、裁断線を少なくすることにより一連の動作をしても突っ張り感や圧迫感が軽減される。パンツはウエスト部分のフライス仕様で、ハードな動きをしても楽な着心地を実感できる。

 ドット柄シリーズで展開している脇ポケット付きニットシャツも好調。優れた収納性と女性にうれしいスリット、さらっとした肌触りの良さが人気を後押ししている。

〈快適性と動きやすさ重視/住商モンブラン〉

 住商モンブランのイチ押しは「アシックス」ブランドの「CHM」シリーズ。スクラブ、ポロシャツ、トレーニングジャケット・パンツ、シューズを展開する。

 スポーツ工学に裏付けられた快適性と動きやすさがアピールポイント。アシックスの特殊カッティング技術により、体にかかる負担を軽くし、ハードな医療現場をサポートする。素材はシューズを除きポリエステル100%。

 カラーやデザインでも今まさに旬な企画と色を重視し、幅広いバリエーションをそろえる。スクラブはシャインレッド、ロイヤルブルー、ネービー、グレーの4色展開。

 シューズも医療現場で働く足にスポーツ科学の知見を応用し、歩きやすさ、足の負担の少なさをアピールする。

〈ドクターコートに新シリーズ/チトセ〉

 チトセは、メディカルウエア「ユナイト」で、着心地の異なる2種類の生地から選べるドクターコートを発売する。動きやすく肌触りの良い2重織りストレッチと、伸縮性に優れシワになりにくい、工業洗濯対応のダブルニットの二つ。

 ドクターコートは素材の良さを感じてもらうために、あえてシンプルに仕上げた。定番の長袖に加え半袖も用意する。

 2018年は「ミズノ」ブランドのソフトラチネシリーズが好調に動いた。女性用には、下着が透けないようインナーを付けており「パンツだけ買うケースも増えてきた」(企画担当者)。「ミッシェルクラン」シリーズもエステや自由診療のクリニックから引き合いが多い。

 19年からエステ、メディカル向けのカタログを統一し、幅広い業種に商品を提案する。

〈襟付きスクラブジャケット/ヤギコーポレーション〉

 ヤギコーポレーションは、襟付きのスクラブジャケットをイチ押し商品に挙げる。人気色のネービーをベースにしたスポーティーなデザインで、五つの配色で展開する。襟の後ろ部分は、スタンドになっているので医療器具などを下げたストラップが直接首に当たらない。

 2018年は、女性用ドクターコートの販売が好調だった。同社のドクターコートは全て立体裁断で製作している。着心地やシルエットの良さで人気が上昇している。ナースウエアでは、ギンガムチェック柄を配したシリーズが、看護系の専門学校やクリニック、介護施設などから引き合いが増えている。

 訪問介護やデイサービス向けのウエアは、カラー展開のスクラブやニットシャツとカラーパンツを提案する。

〈スポーティーで親しみやすく/トンボ〉

 トンボの介護・看護ウエア「ヨネックス」のチェックシリーズは、ポロシャツ、ケアワークシャツをそろえ、脇の切り替えにバドミントンのユニフォームをイメージしたチェックによってスポーティーさを表現、親しみやすい印象を与えるシャツに仕上げた。

 腕の動作がスムーズに行える「フリーアーム」、屈伸時のずり下がりを防止する「ジャストウエスト」など、動きをサポートする機能を追加。吸汗・速乾性に優れた素材を採用するなど、機能性と作業性にこだわった。

 売れ筋の「モイステックスドットニット」のニットシャツ、Tシャツは、キュプラ繊維「ベンベルグ」と機能性ポリエステルを組み合わせた素材「モイステックス」を採用した介護ウエア。特長のあるドット柄が好評で、衣服内の湿度をコントロールしてドライに保ち、肌に優しい。

〈デザインにグレード感/オンワード商事〉

 オンワード商事は4年ぶりにカタログを発行し、新商品13型を発売する。ブランド「ラフィーリア」では、上品な色使いで顔の表情を明るく見せる「クチュール・ルック」シリーズを展開する。ホワイトとシャンパンゴールド、ミント、センシティブローズを組み合わせたカラー展開で、レディースのジャケットやスクラブをそろえる。

 ニュアンスカラーを採用した「ボタニカル・ガーデン」シリーズは、カラースクラブや男女ペアといった多様な選択肢を用意した。病院全体でコーディネートできることから、総合病院や大学病院での採用が増えている。現場の要望を取り入れ、前かがみになってもPHSが落ちない縦ポケットや、足さばきが楽なようにジャケットの背面にタックを入れた。

 接触冷感や通気性が高いスクラブも展開する。

〈きちんとした印象に/シーユーピー〉

 シーユーピーの「プロフィーリング」AIK305シリーズは、チャコールグレー、ネービー、ローズピンクと、今までの介護ユニフォームになかった新しいカラーリングが特長の半袖ニットシャツ。高級感のあるシックなデザインで、Yシャツのようなきちんとした印象を与える。コンパクトな襟や配色のテープ使いで、シンプルながら洗練されたデザインに仕上がった。

 かぶりで着ることができ、着脱が簡単。胸元までしか開かないので、腹が見えることもなく、ボタンが作業の邪魔にならない。両サイドの後ろ側に斜め口のポケットを付けるなど、機能性にもこだわった。

 動きやすさとスタイリッシュさを両立した3Dパターンの「ダイナミック3Dシリーズ」も人気商品。アクティブなカラーリングも好評を得ている。

〈ニットシリーズを投入/ミドリ安全〉

 ミドリ安全は「ベルデクセル メディカル」シリーズで初めてニット素材のウエアを提案する。チュニック、スクラブともにラグランスリーブを採用し、腕をどの方向に動かしてもストレスを感じさせない。チュニック5色、スクラブ6色を展開する。

 パンツは、しゃがんだときに腰の部分のプリーツが伸び、圧迫感を減らすイージーフレックス機能を取り入れた。医療、介護現場の動きをサポートする。

 表面は耐久性に優れた素材を使い、肌に触れる部分は滑らかに仕上げ、着心地の良さを高めた。新カタログの発売前から受注が増えている。

 訪問介護向けには、腰の負担を軽減する「楽腰パンツ」の引き合いが多い。腰を保護するベルトとパンツを一体にすることでずれを防ぐ。

〈人気のボーダー、機能も重視/ボンマックス〉

 ボンマックスは、介護ウエアブランド「ナチュラルスマイル」のボーダーカットソーの販売が伸びている。カジュアルなボーダー柄は、性別を選ばずに日常でも着用できるデザインが受け、人気アイテムに成長している。

 機能性も重視する。アームホールに縫い付けた消臭テープや両脇のスリットは、現場の声を取り入れた。左胸のポケットの内側にはペンを収納するループを付けて落下を防止する。

 このほかアクティブな機能性の高いジャージーも引き合いが多い。

 訪問介護やデイサービス向けでは「デザイン性を重視する傾向も出ている」と、多色展開のポロシャツを提案する。2019年の夏には、介護現場で求められる、機能性の高いポロシャツやスポーツテイストのジャージーの発売を予定している。