「インターテキスタイル上海19春」レビュー(3)/新しい素材探す動き顕著に

2019年03月22日 (金曜日)

 合繊メーカーでは、国際館に旭化成と三菱ケミカル、中国館機能ゾーンに東麗酒伊織染〈南通〉(TSD)と南通帝人が出展した。先行きの不透明感が増す中で新しい素材を探す動きが加速しているためか、各ブースとも他にない素材を求める人で連日にぎわった。

 旭化成は今回展の印象について、「これまでに比べて欧米が減り、中国企業の来場が増えた」と話す。一方、南通帝人とTSDも例年以上の来場者があったが、ともに「海外からの来場が増えた」と言う。

 中国ブランド企業は国際展示会として中国にない素材を探し、欧米企業は「中国の展示会では中国の素材を求める」形がより明確になった観がある。

 旭化成のキュプラ繊維「ベンベルグ」と三菱ケミカルのトリアセテート繊維「ソアロン」はオンリーワン素材として中国でも人気で、隣同士に構えたブースは両社とも人であふれ、高い注目を浴びていた。

 旭化成の今回展での来場者数は過去最高水準。ブースは各用途の素材を結集したベンベルグの総合ブースとし、裏地ではプリント品、アウターではインナー・スポーツテイストの素材などが注目された。

 中国での関心は引き続き高く、「中国内需は弱含んでいるが、各用途ともまだ直接の影響はない」と言う。足元の課題は、フル生産が続く中で旺盛な需要に応え切れない点。来年度の販売量もほぼ横ばいを見込むが、アウター用途では生産性の高い太繊度へのシフトを図るなど少しでも旺盛な引き合いに応える取り組みを進める。

 三菱ケミカルのソアロンは11年ぶりの出展となった。中国内販はこの5年で大きく拡大してきたが、ここに来て他のアセテート繊維が市場に出てきたこともあり、改めてトリアセテートの強みを訴求することにした。

 ブースでは環境、機能、ファッションの切り口からソアロンの特徴を訴求するとともに、近年の素材バリエーションの広がりを紹介した。会期中は特にトリアセテート100%素材が人気を集めた。サテンジョーゼット、小松マテーレのSY加工やダイヤモンド加工を施したサテンが人気上位を占め、麻調などナチュラル感を出した商品も注目された。

(上海支局)