三備産地/MUで手応えつかむ/“環境”と“和”に強い関心

2019年03月08日 (金曜日)

 三備産地の織布、染色メーカーは、海外に向け環境配慮と和テイストの素材開発を強めている。2月にイタリアのミラノで開かれた国際生地見本市「ミラノ・ウニカ」(MU)では双方のキーワードを持った素材に関心が高く、「予想していたよりも来場者の反応が良かった」と手応えをつかむ。

 MUへは、広島県福山市と近隣のデニム関連企業の連携で組織される「備中備後ジャパンデニムプロジェクト」の一環として日本綿布(岡山県井原市)、篠原テキスタイル(福山市)、山陽染工(同)が参加した。いずれもMUへは初出展となる。

 篠原テキスタイルは、90社ほどのスワッチ依頼があった。トレンドコーナーに置いていた素材を見て自社のブースに来るケースが多く、珍しいヘビーオンス(11・5オンス)の「テンセル」100%デニムは「質感を気にして何度も手に取って確かめる来場者が多かった」。オーガニックコットンのセルビッヂデニム、ジーンズ・デニム地の反毛糸を使った「リバイヴデニム」など環境配慮型のデニムが注目された。

 中でも好感触だったのは「パイルデニム」。デニム同様の表情・加工感とタオルのようなボリューム感と柔らかさを兼ね備える。他社があまり作っていないデニムだけに国内へも「引き合いが増えている」。

 山陽染工も「やはり環境への配慮が高かった」と言う。グループの山陽染工児島ファクトリー(倉敷市)で加工する硫化中白染め「ダスティー加工」の綿100%素材に高い関心。厳しい安全基準に基づいた染色加工・製品加工の「倉敷染」を採用しており、「倉敷染そのものに対する問い合わせも多かった」。

 一番人気は顔料コーティングの素材で40件以上がスワッチを依頼。洗いをかけた「独特な表情に興味を示された」。ベンガラ、柿渋、墨汁のそれぞれでプリント・コーティング加工した「ワサンボン」も好評。グループの中国紡織(福山市)が開発した和テイストの2重織りの刺し子風デニムにも反響があり、「やはり欧州で作れないものに関心が集まった」。

 日本綿布はMUでは新規も含め150社ほどの来場があった。ジャカードで独特な柄を出したデニム素材が人気。セルビッヂデニムもビンテージブームの再熱からか、引き合いが増えつつある。