伊藤忠商事繊維C/「次世代化」へ投資加速/環境配慮とECが軸

2018年12月14日 (金曜日)

 伊藤忠商事の小関秀一専務執行役員繊維カンパニープレジデントは、2018年度にスタートした中期経営計画の基本方針に掲げる「商いの次世代化」について、「拡大には投資が不可欠。小型のものから大型案件まで対象を幅広く構え、積極的に進めていく」との考えを示した。軸になるのはサステイナブル(持続可能な)商材と電子商取引(EC)で、ともに幾つもの投資案件が進行中という。

 小関プレジデントは同カンパニーの上半期(2018年4~9月)を、「おおむね順調な推移」と振り返る。期初に、「既存事業のブラッシュアップ」「中国、アジアの地場企業との取り組み強化」「商いの次世代化」を掲げたが、既存事業ではエドウインや三景、ロイネなどの事業会社に主に損益面で改善が見られて「経営の安定感が出てきた」と強調。パートナーとの取り組み強化では、中国での波司登国際、杉杉集団、山東如意集団などとの連携、ベトナムのビナテックスとの連携がそれぞれ順調に進展していると言う。

 次世代化では、特にEC関係で「(うまくいくかどうかの)判断が難しいものが多い」ものの、この間にも複数の小規模投資を進めていると明かした上で、「既存事業につながるもの」がその大前提であると強調した。

 環境配慮商材の充実も成長へのポイントの一つとし、フィンランドの森林業界大手、メッツァ・グループとの共同出資で環境負荷の低いセルロースファイバーのパイロットプラントを現在建設中。原料から製品までのパッケージ提案によって欧米で高まるサステイナブル需要の取り込みを図るほか、日本環境設計の再生ポリエステルや、原料課で展開するオーガニックコットンなどを国内外で拡販していく。

〈デサントとは継続的に話し合い〉

 小関秀一プレジデントは13日、大阪市内の同社で繊維貿易記者クラブと会見、確執が取りざたされるデサントとの関係を問われ、「当社の考えを示しながら、継続的に話し合いを続けている」と説明した。

 小関プレジデントは、「デサントは良い商品を作っており、社員も熱心。ただ、稼ぐという点では現状、うまくいっているのは韓国のみ。韓国がいつまでもいいとは限らないし、日本や中国などでももっと稼げるようにするなど経営基盤を強固化する必要がある。そのために当社の経験と、スピード感といった“感性”をお伝えしているところ」と話した。