三菱ケミカルホールディングス/繊維は「ソアロン」伸ばす/中計の目標値修正

2018年12月06日 (木曜日)

 三菱ケミカルホールディングスは、2021年3月期が着地となる中期経営計画「アプトシス20」のコア営業利益目標を4100億円に修正した。機能商品セグメントの成長などで当初目標の3800億円を上回ることが可能と判断した。繊維事業はトリアセテート「ソアロン」などの戦略素材の伸長に力を入れるとし、新しい取り組みにも挑戦する。

 同社はアプトシス20の目標値として、コア営業利益3800億円のほか、ROS(コア営業利益)8%、当期利益1800億円、ROE(株主資本利益率)12%などを掲げた。三菱ケミカル発足による統合効果と協奏、グローバル市場へのアクセス・マーケティング力強化などを推進し、コア営業利益は18年3月期に3800億円を突破した。

 今年度までの計画の進捗(しんちょく)を踏まえた上で、機能商品セグメントを中心とする成長や統合効果のさらなる発現などを考慮し、目標値を修正した。4日に東京都内で開いた事業説明会で越智仁社長は、「1年前の説明会ではコア営業利益4300億円も視野に入ると話したが、コミットの数字として4100億円に設定した」と説明した。

 200億円の乖離(かいり)については、ヘルスケア分野が予想ほど伸びていないことなどが理由で、「産業ガスセグメントで行ったM&A(企業の合併・買収)などは寄与する。ヘルスケア以外は4300億円を想定した時と大きなぶれはない」と話した。

 コア営業利益のほか、ROSを9%に、当期利益を2200億円に、ROEを13%に修正している。

 繊維事業に関しては、フィルターなど厳しさが続く分野があるとしつつ、ソアロンは世界で唯一の素材であり、「戦略素材として伸ばしていきたい」と強調し、炭素繊維もさらに付加価値を高めて成長を目指す。アクリル繊維などについては需要に応じた開発・提案を進める。

 また、明言は避けたものの、「繊維を使って新たな取り組みにチャレンジする」と示唆した。