三菱ケミカル「ソアロン」婦人服地/「ソアロンティス」打ち出す/サステイナブル特性訴求

2018年12月04日 (火曜日)

 三菱ケミカルはトリアセテート「ソアロン」の婦人服地展開で、輸出を先行させた100%使いの織・編み物「ソアロンティス」を国内にも打ち出す。「プルミエール・ヴィジョン」などで訴えてきたソアロンのサステイナブル(持続可能な)特性を訴求し、環境問題に敏感な国内ユーザーの開拓につなげる。

 2018年度上半期はカットソー向けニットの国内販売が苦戦。織物の販売も前年を多少下回ったものの、中国向けを中心とするテキスタイル輸出が順調で、ソアロン全体では「ほぼ前年並みの販売量を確保できた」(宇野啓一テキスタイル営業グループマネジャー)と言う。

 この数年、対中輸出が右肩上がりを続けており、17年度で30%を超える増販を達成。輸出数量で対中が初めて対米を上回った。18年度も15~20%の増販達成を見込む。

 ソアロンの国内販売は元々、下半期型。18年度下半期は、18春夏で好調だった麻調の素材群が今のところ19春夏に向けても勢いを維持しており、輸出の堅調も見込まれることから、下半期も前年並みの業績を維持できるとみる。

 同社は1年半前からプルミエール・ヴィジョンへ出展する際、ソアロンのサステイナブル特性を訴える販促に着手した。同時にソアロン100%で商品化した婦人服地ソアロンティスの販促を本格化させている。

 欧州のメゾンが、薄地織物をスポーツテイストなアイテムに既に採用。カナダのブランドは、ビンテージ加工品で婦人服を企画している。

 今後は、ソアロンティスの普及・拡大を国内でも目指すとともに、サステイナブル企画を充実させる一環として輸出を先行させた「テンセル」混やオーガニックコットン混を国内にも導入。環境問題に関心の高いユーザーの開拓を目指す。

 このほど開催した19秋冬向けの婦人服地展では、“ネオ・ウール”と銘打った新素材が注目されたといい。梳毛調の高質感をスーツ狙いで売り込んでいく。

 同展ではメンズ向けの商品群も充実させており、100%で商品化したコンパクトに収納できるポケッタブルスーツへの関心が高かったと言う。

 ソアロン・ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維による横ストレッチ織物をセレクト系アパレルがスーツに既に採用。“ネオ・ウール”も含めメンズビジネス・カジュアル狙いの取り組みを加速する。