三菱ケミカル/「ソアロン」でスポーツ深耕/機能性を軸に拡販ねらう

2018年11月28日 (水曜日)

 三菱ケミカルは、トリアセテート繊維「ソアロン」でスポーツ用途への販売を伸ばしている。フルダルタイプやカットファイバーによる紡績糸などの投入が展開の幅を広げているもので、新開発の抗菌・防臭タイプの提案も強める。肌触りなどの素材特性と機能を組み合わせて一層の拡販を狙う。

 ソアロンは、ソフトな風合いや絹のような光沢を持ち、高級婦人服地をはじめとするファッションやブラックフォーマル用素材として広く定着している。最近は他用途への提案も進展を見せており、特に速乾性やウオッシュ&ウエア性などを生かすことができるスポーツ分野への浸透が目立ってきた。

 訴求ポイントは風合いと機能性で、その代表の一つがフルダルタイプの「トライラテ」となる。酸化チタンを練り込み、透け防止やUVカット、遮熱性などを付与した。ブライト糸と比べて紫外線透過率や可視光透過率で大きな差が生まれ、生地表面の温度にも違いが生じる。ソアロン本来の質感は損なわない。

 そのほかではソアロンと常圧カチオン可染ポリエステル「A・H・Y」のカットファイバーによる紡績糸(綿番で50番単糸)も生産。独特のタッチや吸水速乾性に優れるほか、ピリングが起こりにくいといった特徴を持つ。アウトドアを中心にカジュアル用途への展開も進める。

 新商材では、機能加工を施して制菌・抗菌性能を付与した「清結」を上市する。ソフトな肌触りを維持しながら吸水速乾性、形態安定性、接触冷感性を併せ持ち、洗濯耐久性も兼ね備える。スポーツのほか、ユニフォーム、インナー、寝装など幅広い用途への浸透を狙う。

 ユニフォーム分野については従来、ブラウス用途を中心に展開を図ってきたが、トライラテなどを軸に「採用が着実に増えてきている」と言う。スポーツやユニフォームは今後も深掘りする方針で、「顧客の要望があればソアロンの機能素材のバリエーションはさらに拡充」すると話す。