90周年記念行事催す/日本綿業倶楽部

2018年11月20日 (火曜日)

 東洋紡績(現・東洋紡)の専務だった故岡常夫氏の巨額の遺贈と遺志、そして綿業関係者の尽力で設立された日本綿業倶楽部は16日、創立90周年記念行事を、大阪市中央区の綿業会館で催した。

 同倶楽部は、1928年の設立の翌年、戦前の日本を代表する建物で、重要文化財にも指定されている綿業会館の建設を決定。岡氏が遺贈した100万円と業界が拠出した50万円の合計150万円を建設費用に充てた。ちなみに、同会館と同じ31年に竣工(しゅんこう)した大阪城天守閣再建費用は47万円だった。

 記念式典であいさつした津村準二理事会長は、同会館建設に向けて、近代日本資本主義の指導者である渋沢栄一氏に同倶楽部の名誉顧問に就任してもらい助言を得たことを紹介。当時89歳でかつ東京在住であり、大阪に来るのは大変だったはずの渋沢氏が、同倶楽部の名誉顧問を引き受けたのは、かつての部下である岡氏の夢を実現したいとの思いからだろうと語った。岡氏は、東洋紡の前身の一つである三重紡績で、さらには東洋紡績になってからも、部下として渋沢氏の薫陶を受けていたという。

 同日は、式典に続き、記念演奏会、懇親会が催された。