シキボウ/「125周年記念誌」を発刊/日本の紡績史振り返る

2018年11月07日 (水曜日)

 シキボウはこのほど、「125周年記念誌」を発刊した。同社の前身の伝法紡績の発足(1892年)から1944年の敷島紡績設立を経て、現在のシキボウに至るまでを紹介する。

 社史と言えば、分厚くて重い上、文字が多く読みづらいというイメージがあるが、今回の記念誌はそうした固定観念に挑むような読みやすさへのこだわりが受け取れる。

 資料編も含めて400ページ余りと重量感はあるが、開けてみればフルカラーで19世紀後半の貴重な紡績工場の写真や、当時の文化的、経済的な背景を示す絵図などを数多く配し、読者の興味をそがないように配慮した。

 繊維業界関係者以外にも関心を持って読んでもらうため、繊維の専門用語や経済用語などには解説を付けた。「番手」「カルテル」「糸ヘンブーム」といった用語が脚注で分かりやすい言葉で説明される。

 コラムも多い。同社の商標「マーメイド」マークの変遷や時代ごとで話題となった出来事、さらに過去に存在した紡績企業にもスポットを当てる。シキボウの軌跡だけでなく、現在に至る日本の紡績史をも振り返る一冊になっている。