一本の糸が魅せる物語/北陸ヤーンフェア2018レビュー(6)/北陸らしく資材も提案

2018年11月05日 (月曜日)

 北陸産地は用途展開が幅広い。ファッション衣料だけでなく、スポーツウエア、ユニフォーム、インナー、非衣料ではカーテンなどインテリアに加え、カーシートはじめ各種産業資材を手掛ける。これだけの対応力は他の繊維産地にはない。

 それを踏まえ東洋紡STCは、非衣料分野にターゲットを絞って「北陸ヤーンフェア2018」に出展した。同社の繊維事業は紡績糸をベースにした衣料用が主体だが、グループにはさまざまな機能性繊維がある。これを北陸産地企業などにアピールし、非衣料での糸売り拡大を目指している。

 今回展ではセルロース繊維改質の「リフレス」、綿改質の「うるおいコット」など原綿改質加工やグループ企業である日本エクスラン工業のアクリレート系繊維をはじめとする機能素材を軸に、経編み用ビームサプライ「サイプス」も提案した。パネルを使って同時に、衣料だけでなくスーパー繊維などの高性能繊維や、自動車資材、フィルター材、化粧雑貨、逆浸透膜、エンジニアリングプラスチックなども手掛ける点を改めて紹介した。

 「自動車資材関連の需要家ともコンタクトが取れた。今後、直接訪問を行いながら本格的なビジネスに結び付けたい」と、インナー事業部原糸販売グループの藤井利秀アシスタントマネジャーは意気込む。

 三菱ケミカルは防虫忌避機能を持つポリプロピレン長繊維「クリーンライフNeo」を持ち込んだ。安全性の高い特殊なプレスロイド様化合物(エトフェンプロックス)を練り込んだもので、多くの害虫に対し、長期的な忌避効果を発揮する。「インパクトがあったようで、来場者の関心は高かった」と、繊維素材事業部テキスタイル営業グループの原田和生機能テキスタイルチームリーダーは手応えを示す。

 高強力ポリアレリート繊維「ゼクシオン」、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維「グラディオ」の高性能繊維を提案したのはKBセーレン。高性能繊維への参入は最後発だけに、同展を通じて知名度を高めるのが狙い。日本の高性能繊維メーカーは海外市場を主力とするが、同社は国内での販売拡大が先決とし、北陸ヤーンフェア2018で取り組み先の開拓を狙った。

 こうした合繊メーカーのブースは多くの来場者を集めていたが、糸商や糸加工メーカーのブースも盛況だった。