ユニチカ/PLA繊維で仕掛ける/「メルセット」は増設へ拡販
2018年10月10日 (水曜日)
ユニチカは繊維事業の2018年度下半期(18年10月~19年3月)の重点戦略としてポリ乳酸(PLA)繊維「テラマック」を活用した商品開発・提案強化を掲げる。生分解性が特徴のテラマックに対して欧州などから引き合いが急増していることから、長谷川弘常務執行役員繊維事業本部長は「テラマックは今下半期中に何らかのアクションを起こして仕掛けなければ好機を逃す」と話す。
同社は早くからPLA繊維をテラマックのブランドで商品化するなど豊富な実績を持つ。現在でもティーバッグ向けなどで欧州への輸出も多い。ここに来てマイクロプラスチックによる海洋汚染などへの危惧が世界的に高まった。このため生分解性のある合成繊維への注目も上昇している。
長谷川常務執行役員は「当社はいち早くPLA繊維の実用化に取り組んできたことで技術的蓄積もある。これまでは価格などが普及のハードルとなっていたが、市場の状況が変わった。特に欧州では生分解性素材への強烈なニーズが生まれている」と話す。実際にテラマックに対しても衛材などさまざまな用途で引き合いが急増していると言う。
このため今下半期からテラマックを中心とした環境配慮型商品の開発と提案を強化する。具体的な動きを既に進めているもようで、「下半期中に具体的なアクションを起こす」と話す。
一方、繊維事業の18年度上半期(4~9月)の商況は産業用繊維全般で好調に推移した。高強力ポリエステル糸、ポリエステル短繊維ともに需要が堅調だった。差別化した商品に特化する戦略が成功している。特に2成分複合ポリエステル長繊維「メルセット」はフル生産・フル販売が続く。メルセットは既に増設を決定しており、19年9月には増設ラインが稼働する。このため増設後に向けてメルセット拡販も今下半期からの重点課題に挙げる。
上半期後半から原料価格が急騰、収益性の低下が著しい。このため値上げによる価格転嫁にも着手した。値上げの浸透による収益性の維持も18年度下半期の重点課題に掲げる。