特集 ITMAアジア+CITME2018(2)/有力出展企業プレビュー

2018年10月03日 (水曜日)

〈延伸機構に先端素材/超省資源型ホットローラー披露/TMTマシナリー〉

 TMTマシナリーは「ITMAアジア+CITME2018」で競合他社の追随を許さない次世代の革新技術を打ち出す。その一つとして延伸機構用に先端素材を活用した超省資源型ホットローラー「カーボンローラー」を披露する。

 カーボンローラーは、炭素繊維強化複合材を開発・製造販売しているグループ会社、CFCデザインと共同開発したもの。これを主力のポリエステルFDY延伸機構「iBox―FDYシステム」に搭載して紹介する。カーボンを材料に使用することで、従来のホットローラーを超える省エネルギー性、省資源性を実現した。

 展示では最新型巻取機構である32エンドツイン型ワインダー「マンタ―618R/32」との組み合わせで実機展示する。車両用を中心に活況となっている産業資材向けに長尺タイプのカーボンローラーも世界初披露する。

 現在、合繊の世界最大市場である中国では大手メーカーによる大増産が進行しており、TMTマシナリーも巻取機を中心に2年先まで納期枠が満杯という状態にある。このため同社では今回のITMAアジア+CITME2018で、2021年ごろに迎えると予想される次期増産期をターゲットとした革新技術を提案することが狙いとなる。

 このほか、人件費高騰が続く中国に向けて省人化・自動化の新たな取り組みも提案する。

〈新型リワインダー開発/多様な糸種、パッケージに対応/TMT神津〉

 TMTマシナリーグループのワインダーメーカー、TMT神津はこのほど開発した新型の合繊長繊維用リワインダー(巻き直し機)「ワインディング・マスター」を実機披露する。今回の開発はTMT神津が炭素繊維用ワインダーなどで蓄積してきた技術とTMTマシナリーが高速テークアップワインダーや延伸仮撚機で培った技術を融合することで実現した。

 リワインダーの性能は、糸の張力、接圧、トラバースそれぞれの制御が三大要素。ワインディング・マスターは独自の接圧機構を採用し、クレードルをモーターで能動的に動かしながら、接触ローラーとトラバースユニットも独立制御で動く。これにより低張力・低接圧で安定的なトラバースと巻き取りが可能だ。

 ベルトトラバースによる巻き幅可変や独自のプレシジョン巻きなど精密トラバース制御によって均一で理想的なパッケージ品質を実現。給糸システムも独自の縦置き型給糸ユニットで回転解舒(かいじょ)と消極解舒の両方に対応する。回転解舒と消極解舒で給糸ユニットを変更する必要がないため、稼働効率の向上が期待できる。

 これら機構により各種合繊のFDY、ATY、撚糸、カバーリング糸、モノフィラメントなど多様な糸種に対応し、染色用ソフト巻きやラウンドショルダー巻き、高密度巻きなど多彩なパッケージへのワインディングを可能にした。

 メインフレームにも独自の設計思想を盛り込んだ。リワインダーは通常、複数錘を1体のメインフレームで構成する設計が主流だが、ワインディング・マスターは単錘ごとに独立したメインフレームを持つ。このため1錘単位での設置が可能となりユーザーの細かな設備導入ニーズに応えられる。

〈進化する自動ワインダー/「ボルテックス」も多彩な用途に/村田機械〉

 村田機械は、自動ワインダー「プロセスコーナーⅡ」シリーズを進化させた「プロセスコーナーⅡ QPRO EX」「プロセスコーナーⅡ FPRO EX」を初公開する。渦流精紡機「ボルテックスⅢ870」も実機展示し、多彩な素材や用途への対応力を打ち出す。統合管理システム「ムラテック・スマート・サポート(MSS)」も紹介する。

 ボビントレー型のQPROEXは現行機種から自動化・省エネ性能を一段と追求した。マガジン型のFPROEXは多品種少量生産に対応するアームトラバース式ワインダーの最新技術を打ち出す。くず糸を大幅に削減する上糸センサーやボビンからパッケージまで最適なテンションに制御するPCモジュール、給糸本数を50本以上に拡大できるデュアル・シュート・システムなど最新機構を盛り込んだ。

 FPROEXはパッケージ直接駆動方式とそれに連動したトラバースで高速・高精度な巻き取りを実現。完全リボンレスな高品質パッケージを生産できる。供給ボビンリザーブ量を2倍にして自動交換機能も加えた「VCFアドバンス」機構も搭載し、省人化・自動化ニーズに対応する。

 一方、ボルテックスⅢ870は実績豊富なレーヨン紡績に加えて、ポリエステル100%やポリエステル・綿混紡績でも評価が高まる。今回は綿紡績に焦点を当て、30番手メランジ糸の高速紡績を実演する。

 顧客サポートの統合管理システムであるMSSは稼働データ管理システム「ビジュアル・マネージャーⅢ」「V―LABOⅢ」を中心に独自開発の無線ネットワーク機器「ムラテック・ワイヤレス・イクイップメント」の活用を紹介する。

〈複合紡糸用に強み/建設中の新工場も紹介/化繊ノズル製作所〉

 化繊ノズル製作所は紡糸用ノズルや不織布用部品・ラインを幅広く展示するほか、建設中の新工場の概要を紹介する。

 同社は今年10月に創立70周年を迎える。化学繊維用の紡糸ノズルで元々高いシェアを持つが、近年はスパンボンド用を中心に不織布用部品・ラインの販売も順調に伸ばしている。旺盛な需要に応えるため、現在は新工場の建設を進めており、来年夏には稼働を予定する。

 複合紡糸用スピンパックは同社が強みを持つ分野の一つ。スピンパックにはノズルだけでなく、上部部品との位置関係や、ポリマー流路部などさまざまな加工精度が要求されるが、サブミクロン単位で制御する高い精密加工技術が強みとなっている。

 今回展では乾式・湿式用や溶融紡糸用など紡糸ノズル全般を紹介する。特に複合紡糸用は貼り合わせ型、芯鞘、海島繊維、分割繊維など幅広い商品群をそろえる。異型断面の海島繊維やY字断面の芯鞘繊維などさらなる差別化を実現する商品も多くそろう。

 不織布用の部品・ラインも紹介する。不織布用では特にメルトブロー不織布用とスパンボンド用に強みを持ち、中国、東南アジアのほか、インドやトルコ、中東、欧米など世界に顧客を持つ。スパンボンド用やメルトブロー用を得意とし、細孔の直進性といった精密加工技術、高圧仕様品などの開発力に加えて、ノズルの大型化への対応も強みとしている。

〈高生産性と環境を両立/テーマはスマート・テクノロジー/津田駒工業〉

 津田駒工業は長年にわたって追求してきた“スマート・エコロジー~環境と生産の調和”をキーワードに最新バージョンのエアジェット織機とウオータージェット織機、タオル用エアジェット織機を提案する。中国生産機やIoT対応システムも多彩に紹介する。

 エアジェット織機は「ZAX9200iマスター」を出展。新開発のソレノイドバルブ一体型メインノズルと新型サブノズルが高品位な緯糸挿入を実現する。「i―ウィーブ」「DSS―Ⅱ」ダイレクトサブノズルシステムなどによって空気消費量を10%削減。製織支援システム「ウィーブ・ナビゲーション・システム―Ⅱ」で高難度な製織をサポートする。タオル織機「ZAX9200iマスターテリー」は従来機をさらに高速にした。

 ウオータージェット織機「ZW8100プロフェッショナル」は従来機比10%の高速性能と電気消費量5%削減を両立した。多色・上下ダブルビームで高付加価値製織が可能だ。新型ノズルも搭載し、緯糸4色でも安定した緯糸挿入を実現し、水使用量も10%削減する。

 IoT対応ではユーザーの織機をインターネットで津田駒工業と結び、稼働改善や生産性向上、予防保全を目指す「ツダコマインターネットサポートシステム(TISS)」の構築を進めている。

 津田駒機械製造〈常熟〉で生産するウオータージェット織機「ZW508」、経緯津田駒紡織機械〈咸陽〉で生産するエアジェット織機「ZAX―GSi」も紹介する。

〈「R9500●デニム」デビュー/産資向けに筬幅540センチ機も/イテマ〉

 イテマは最新型デニム用レピア織機「R9500●デニム」(セカンド・ジェネレーション)を中国で初披露する。従来機と比べてエネルギー消費を大幅に削減することに成功した。産業資材向けに「R9500」の筬(おさ)幅540センチバージョンも実機展示する。

 「R9500●デニム」は、今年4月に発表した同社のデニム用レピア織機の第二世代機で、既に世界的に高い評価を得ている。高品質なデニム製織に加えて、同社の革新テクノロジーである「iセーバー」を搭載することで、エネルギー消費を大幅に削減することに成功した。また、製織時に発生する給糸側の捨耳を廃止することを実現し、テキスタイル生産に対する“サステイナブル(持続可能な)”アプローチを可能にする。

 一段と重要性が増す産業資材向けでは筬幅540センチのR9500広幅タイプを提案する。産業資材向けにカスタマイズした特別仕様のロールアウトと専用装置によりモノフィラメントや高強力糸を使った資材向け織物の生産に対応する。中国などアジア地域でも産業資材向け製織への関心が高まっていることから注目されそうだ。

 そのほか、旗艦レピア織機「R9500」、タオル用レピア織機「R9500テリー」、エアジェット織機「A9500」「A9500p」も実機出展する。中国生産するレピア織機「R9000」も「R9500●デニム」に実装された新技術の一部を導入することでバージョンアップしたタイプを披露する。従来タイプと比較して大幅な省エネルギーと生産性向上を実現した。

(●は上付き文字の2)

〈電子開口で高速・高品質/リング精紡機で「モザイク糸」/豊田自動織機〉

 豊田自動織機はエアジェット織機「JAT810」を実機出展する。独自の電子開口装置「E―シェッド」も搭載し、高速・高品質な製織をアピールする。

 JAT810はエアジェット織機で世界シェアナンバーワンの実績を持つ。今回展では電子開口装置のE―シェッドを搭載し、デザイン性の高いギンガム柄ストレッチシャツ地と、パイルやボーダーそれぞれ最適設定が可能な高品質タオルの製織を実演する。高速生産性と高付加価値・高品質な製織を両立する高い汎用性をアピールする。

 そのほか、リング精紡機のRX300で紡績した同社のオリジナル革新糸「モザイク糸」を使った製品サンプルも展示する。RX300によって紡績することができるモザイク糸は、1本の糸の中で色や太さを自由に設定することができ、通常の精紡機では生産できない多彩な意匠性を持つ。

 中国では高生産性・高品質・高付加価値・省エネ・省人などへのイノベーションを求める声が一段と強まった。同社では2020年ビジョン“3E(エンバイロメント、エコロジー、エナジー)”を軸に豊田自動織機グループ全体の総合力によるソリューション発信を続ける。

〈アラミド繊維の製織実演/「GTマックス」が進化/ピカノール〉

 ピカノールは新型レピア織機「GTマックス―i3・0」を披露する。旗艦レピア織機の「オプティマックス―i」でシャツ地のほか、アラミド繊維の製織など高性能繊維への対応力も打ち出す。

 GTマックス―i3・0は、中国で生産する「GTマックス」「GTマックス―i」の次世代タイプ。設計を一新した緯糸挿入機構と同社の電装システム「ブルーボックス」を組み合わせることで一段の高生産性を実現した。人間工学に基づくデザインがユーザーフレンドリーな操作性を可能にする。今回展ではデニムやカーテン地の製織を実演する。

 旗艦レピア織機であるオプティマックス―iは筬(おさ)幅190センチタイプを実機出展。シャツ地のほかアラミド繊維の製織を実演することで産業資材用途での対応力も紹介する。エアジェット織機「オムニプラスサマム」の製織実演も行い、レピア織機からエアジェット織機まで多彩な緯糸挿入システムを保有する点も見どころとなる。

 そのほかタオル用エアジェット織機「テリープラスサマム」をストーブリのブースに設置。ストーブリの電子ジャカード搭載でタオルの製織を実演する。

 ピカノールの織機は、日本ではエディーが販売代理店を担っている。

〈織布準備機で新提案/自動つま先リンキング装置も/ストーブリ〉

 ストーブリは織布準備機で新型タイイング機「タイプロ」を披露するほか、ビーム染色のサイジング工程の自動化・省人化を実現するユニット「ビームプロ」を提案する。ニット関連では靴下の自動つま先リンキング装置を紹介する。

 織布準備機では新型タイイング機「タイプロ」を実機出展する。産業資材向けの現行機「マグマ」をベースにアパレル用として開発した。糸取り機構はセレクターニードルを廃してスピンドル方式を採用した。これによりアゼひもなしでのタイイングが可能になる。

 まったく新しい提案として打ち出すのがビームプロ。ビーム染色した糸のサイジング後の巻き上げ工程で使用する。これを導入することで高精度な巻き上げを自動化でき、省人化につながる。今回展ではコンセプト紹介としてパネルでの提案となる。準備機ではそのほか、ドローイング機「サファイアS30」も実機出展する。

 ジャカード・開口装置は新型電子ジャカード「LXXL」を紹介する。2万5600口の大型タイプで、2連結することも可能。ドビーは中国生産機をバージョンアップ。特にウオータージェット織機用上置きタイプを重点提案する。

 もう一つ注目なのがニット関連装置。靴下編み機用自動つま先リンキング装置を出展する。近年、靴下編組の分野ではつま先リンキングの自動化が急速に普及する。このため同社では靴下編み機メーカーなどに対して提案する。

〈実績のテンション制御装置/高性能繊維分野での拡販めざす/イズミインターナショナル〉

 イズミインターナショナルはPCボード用に使われている超細番手ガラス繊維基布製織用のテンション装置など新素材用機器や、最高級のラバーストリップを積極的にアピールする。

 今回展では極細番手ガラス繊維向けテンション制御装置「TOP1000」と「TOP5000」や織機用ロールカバーを出展する。

 同社はテンション制御装置で長い経験を持ち、日本での市場シェアは90%を誇る。織機用ロールカバーも主要なウオータージェット織機とエアジェット織機向けOEM製品やウオータージェット織機用防カビ仕上げラバーストリップなどを紹介する。そのほか、ボビンワインダーで、レノボビン用やリボン、ネーム織機用も打ち出す。

 同社は、プリント配線基板用極薄生地の生産が台湾と、中国のメーカーで本格的に始まる中で、2年前のITMAアジア出展時から細番手糸のクリール用テンショナーよりも高性能な極細番手糸に対応するテンショナーの本格的な販売を目指している。今回展はその重要な機会と捉えてる。

 ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維など高性能繊維分野は今後、台湾、韓国をはじめ中国、タイ、インドなど新興国でも拡大する見通し。今後の新機種開発でも産業用、特に新素材用機器に力を入れる方針で、中国市場での販売に力を入れる。

〈多彩な織布準備機/工場内搬送機器も注目/藤堂製作所〉

 藤堂製作所は多彩な織布準備機や工場内搬送に関する機器などを出展する。同社は幅広い機種をそろえており、扱いやすさや高速化などそれぞれの商品の特徴を打ち出す。

 タイイング機では「HL」「HIM」シリーズを紹介する。HLはシンプルな操作性を追求して開発した機種で、4通りの経継ぎが可能という性能を備えながらも、操作は開始・停止ボタンとスピード調整のみで運転できるなど扱いやすさに優れる。「HIM」は指定本数での停止を入力指示できるなど操作性に優れる。

 自動ドローイング機「織鶴」は従来は100回転だったものを130回転に高速化。一般的な方式と異なり、ビーム糸の準備なしに筒子糸での引き通しが可能。準備した種糸と経糸ビームをタイイングマシンで結ぶことで引き通し工程は完了する。

 製織後の工程では、織機で生産した織物を一定張力で巻き取る大経巻き取り装置「MTCW6」も紹介する。織機から巻取り装置の間の生地張力を張力ロールで検知して巻き取り速度を自動制御する。2015年から販売を開始して着実に台数を伸ばしており、エアバッグやデニムなどで採用が拡大する。

 このほか、工場内でビームを運ぶ際に使用する自動搬送機を紹介する。現在、ガラス繊維の工場などで需要が高い。機械の向きを変えることなく前後・左右に動くことが可能なため、狭いスペースでも設置できる点が好評。織機の高速化で生産性が上がり、織機総数に対する搬送機の必要台数が増えていることも販売拡大の背景にある。

〈コア技術を打ち出す/髪の毛ほどの細さを実現/金井重要工業〉

 金井重要工業は主力商品のリング、トラベラー、針布、メタリックワイヤーなどを一通り紹介するとともに、長年の歴史の中で培ってきたコア技術も紹介する。ブースに開発担当者も常駐して細かな質問・要望に対応する体制を敷く。

 今回は独自の特徴を持つコア技術を広く紹介しながら、新しい提案を行う。髪の毛ほどの細さを実現した針を使った針布や従来品に比べて密度を2倍以上に高めた針布、従来品に比べ、耐摩耗性など性能を維持しながら半分の重さに軽量化したトラベラーなどを紹介する。同社では中国の繊維企業が高付加価値化を志向する中、それに対応する開発に力を入れてきた。これら針布はその成果を表わす。

 ガラス繊維市場も電気自動車やIoTの流れを背景に活況が続く。IT機器の小型化、薄型化、多機能化によってプリント配線基板向けガラス繊維も細番手化が進む。撚糸工程で毛羽発生や生産性低下に対してリングやトラベラーではさらなる安定・高速性が求められるため、耐摩耗性を維持しながら従来品比半分以下の重量を実現したナイロントラベラーを開発した。

 紡績用のリングやトラベラーでも新商品開発を進める。既存の紡績機に対応する汎用性を備えながらも、部品の立場から紡績機の飛躍的な性能向上につながる技術の開発に挑戦する。

〈自動化システム実演/電子柄編みで“ウーブンルック”/福原産業貿易〉

 福原産業貿易はダブルニットの両面選針子柄編み機「M―LEC7DSIB」とシングルニット機の「MXAC―S3・2DFDREウィズARDS」を実機出展する。特にシングルニット機は自動化システム「オート・ニット・システム」を搭載し、生産性向上と省人化・人件費削減に貢献することを打ち出す。

 オート・ニット・システムはATSS、ACSS、ARDSの3機構で構成する。ATSSは給糸装置を駆動させるテープを自動で制御する。ACSSは必要な給糸テンションを入力するだけでコンピューターがセントラルスイッチを制御し、指定した給糸テンションを自動調整しながら維持する。ATSSとACSSを同時使用することで必要な編み地密度を短時間で自動的に確保でき、生産効率を大幅に高めることができる。

 さらにARDSは、編成が完了した反物を自動的に編み機から搬出するシステム。設定したカウンター値になると定位置で編み機を停止させ、編み地をカットした後に反物を自動的に搬出する。搬出後は低速で稼働し、編み地が確実にリールロールへ巻き付けられたことを確認すると自動的に高速稼働に復帰する。ARDSを装備することで反物搬出の人員を削減できるなど省人化につながる装置だ。

 一方、両面選針電子柄編み機は84フィーダーの口径38インチ×20ゲージで旺盛な需要が続くマットレス側地の編成を実演する。最大28ゲージまでハイゲージ化が可能で、同社が“ウーブンルック”と名付ける織物調電子柄編み地を生産することができる。

〈編み機からシステムまで/トータルファッション提案/島精機製作所〉

 島精機製作所は省人化・自動化を実現するトータルファッションシステムを提案する。紡績企業とも共同出展し、特徴的な糸を使った新しい商品やデジタル化による無駄のないスピーディなモノ作りの提案を行う。

 今回展では最新鋭のホールガーメント(WG)横編み機を紹介するほか、3Dデザインシステム「SDS―ONE APEX3」、IoT技術で生産性を高める「シマ・ニットPLM」などを紹介し、マーケティングから製品企画・生産・販売までの全工程で無駄を省き、自動化を進める提案を行う。

 SDS―ONE APEX3は紡績、企画、生産、販売が緊密に連携したワークフローを構築し、無駄を省いて環境への負荷を抑えるモノ作りを実現する。今回紹介する最新機種WG機「MACH2XS」「MACH2S」「SWG091N2」と連動することで生産システムの自動化によるマスカスタマイゼーション(個別大量生産)が可能となり、持続可能なモノ作りにつながる。

 シマ・ニットPLMはERPやSCMなどの基幹システムと同社の機械をIoT技術でつなげることで、生産性の向上を実現する。システム間のデータリンクにより、工程ごとに発生していたデータ入力処理などを省略し、省力化、自動化につなげる。

 このほか、同展では「SV123SP」を紹介する。ループプレッサーを搭載したグローバルに販売する機種。プレーティング編成の際、柄・デザインに応じて、編み地の表に見える糸の入れ替えを同一コース内で針単位で可能とし、ジャカードのデザインを天竺編みで効率的に編める「i―プレ―ティング」をオプションとして用意する。

〈生産性高めた液流染色機/高難度・高付加価値加工に対応/日阪製作所〉

 日阪製作所はグローバルに販売する液流染色機「サーキュラー」シリーズの「CUT―CJ―2L」型などを出展する。高級品・高難度・高付加価値加工の品位安定化を実現する機械を紹介する。

 今回展では中国生産機を中心に展示。同社は現在、日阪〈中国〉機械科技で生産する液流染色機のバリエーションを広げ、従来からの「CUT―CF」型に加え「CUT―CL」や今回展示するCUT―CJも中国で生産している。

 CUT―CJは自動車内装材、インテリア、医療用資材など幅広い分野で実績がある機種。整頓ゾーンの構造を改良することで薄地から厚地まで高い走行安定性を実現したほか、均染性向上とシワやムラなどの加工欠点を防止する。大容量化により生産性も大きく向上した。サーキュラーの従来機種の標準容量に比べて、同じ設置面積で1・5倍以上の容量を実現。これによる生産性向上でランニングコスト、人件費の削減につながる。

 今後は日本製の品質を維持しながら一段のコストダウン進める。中国でも加工難易度の高度化・高付加価値化が進み、要求レベルも高まる中、ソフト支援技術を含めた総合的顧客対応力も高める。

 研究開発では染色加工業で注目が高まる環境対策、省エネルギーに重点を置いて取り組みを進める。環境規制強化で染色加工場の負担が大きくなる中、染色時の使用水量を減らす低浴比化だけでなく、水洗時の節水も含めたトータルな省資源・省エネを実現する機械開発を目指す。

〈伊藤忠システック/情報交換のスペース提供/海外メーカーの新鋭機紹介〉

 伊藤忠システックは、今回も会場内に商談・情報交換スペースを確保し、同社が実施するITMAアジア視察ツアー参加者に休憩・情報交換の場を提供する。日本のユーザーに向けて、海外メーカーの新鋭機の紹介や産地見学を実施する。

 視察ツアーでは、特に国内メーカーが少なくなっている準備機や糸加工機などで海外メーカーの最新動向を紹介する。同社が取り扱うバンデビーレグループの機械も紹介。ボーナスの新型電子ジャカード「Ji」は旗艦機「Si」の小口バージョンとして導入しやすい価格帯なども訴求する。

 バンデビーレグループが2年前に傘下に入れたコボルのタフト機なども重点提案する。バンデビーレグループがカーペット製造設備分野で原糸からカーペット製造まで一貫ラインを提供できる点を強みとして打ち出す。

 そのほか、ドルニエの新型レピア織機「P2S」にも注目。積極レピア方式で最大5㌧のパワーで打ち込みが可能。フィルターやコンベアベルトの基布、土木資材向けの織機となる。

 ITMAアジア視察ツアーではユニークな設備を持つ現地繊維工場の見学も実施。今回は江陰華方新技術科研のセクショナルサイザーが稼働している工場などを見学する。