この人に聞く/SGSインドネシア 消費者・リテール事業部長 アリエス・ヌグロホ 氏/新たな受注獲得に力

2018年09月10日 (月曜日)

 スイスに本部を置き、幅広い工業製品の検品・検査試験・認証事業を展開するSGS。1878年設立で、世界中に1650拠点のオフィス・試験ラボを持つ。インドネシア法人で消費者・リテール事業を統括するアリエス・ヌグロホ氏にインドネシア国内の繊維製品の検査試験と認証事業の現状と今後の戦略について聞いた。

(ジャカルタ=橋本学)

  ――SGSインドネシアの事業内容について。

 繊維製品に限らず自動車関連部材、家電、玩具といった工業製品から食品に至るまで、幅広い分野で安全性や品質を証明する検査試験・認証事業を展開しています。インドネシア法人の売り上げに占める繊維製品の割合は5割。靴を含めると6割になります。

 インドネシアでは15拠点を展開し、ジャカルタとスマランで繊維製品に関する試験設備を持っています。染色堅ろう度検査、製品性能検査、強度などの物性検査、混用率検査、アゾ染料、ホルムアルデヒド、重金属の有無を調べる安全性検査など基本的な試験は全て行える体制を整えています。

  ――顧客の構成比率は。

 欧州が5割、米国が4割、日本や現地アパレル、それ以外の国からの依頼が1割です。欧州、米国、日本、それぞれの規格に合った試験設備があります。物性テストだけでなく、船積み前の検品、「アディダス」や「H&M」といったブランドを展開する企業が独自に定める品質水準を満たしているかどうか、工場の技術レベルや労働環境に関する評価も行います。SNIというインドネシアが定める繊維製品の規格に適合するかを調べる検査機関にも指定されています。

  ――インドネシアでの繊維製品の試験受注の動向について。

 当社の業績は年々、少しずつですが上がってきており、インドネシアに拠点を持つ繊維企業が着実に増えていることと実感しています。需要の増加に伴い今年2月に事務所を移転し、ラボを広くし新たな試験機器も多く導入しました。今年は米国を仕向け地とした商品の検査依頼が増えています。米国の景気が好調で衣料消費が活発なことが要因です。

  ――今後の業績拡大に向けた戦略は。

 当社の強みは、幅広い規格に対応した試験から船積み前の検品・オーディット認証までワンストップで行える体制です。インドネシアの繊維産業は長期的にまだまだ成長するポテンシャルがあります。欧米の受注を継続的に獲得していくとともに日本のボーケン品質評価機構と組むことで、日本企業からの受注拡大にも力を入れます。現地のローカル品の検査試験の取り込みも今後の課題です。セミナーなどを通じて検査試験の重要性をアピールし、新たな受注獲得に力を入れます。