三菱ケミカルHD・越智社長/中計は軌道上を進む/次世代の開発がテーマに
2018年08月29日 (水曜日)
三菱ケミカルホールディングスは、2020年度が最終となる中期経営計画「アプトシス20」の完遂に向け、順調な歩みを続ける。越智仁社長は28日、「(中計の)取り組みで遅れているものはない」と明言するとともに、新事業創出や開発の方向性などを示した。
19年3月期の連結コア営業利益(営業利益から事業撤退や縮小によって生じる損失などを除いて算出)予想は3550億円。前期と比べて減益となるが、薬価改定の影響や原油価格の動向、人件費の増加などを考慮したもので、中計で掲げている施策に大きな食い違いが出ているわけではない。
グループ会社の統廃合などポートフォリオ改革は着実に進展し、M&A(企業の合併・買収)による事業の拡大も実行に移している。17年4月に3社統合によって発足した三菱ケミカルに関してもシナジーを発揮しているほか、事業の方向も明確になってきた。
新事業創出や新規開発については、次世代のテーマに切り替わりつつあると強調。例えば炭素繊維複合材料は「当初予想ほど需要が伸びていない」とし、「自動車だけでなく、メディカルや半導体分野を含めて、必要とされる部分の見極めが必要。そのためのマーケティングを続けている」と語った。
海洋プラスチックごみ問題にも触れ、何もしないことの評判リスク(レピュテーションリスク)は大きいとした。日本化学工業協会や日本プラスチック工業連盟などとの連携を密にして対応を図っていくと同時に、バイオ系商材の積極的な開発・展開にも力を入れる。