シキボウ/工場の臭いの悩み解決/染色加工や紡績に提案
2018年07月12日 (木曜日)
シキボウが繊維工場の臭気対策に乗り出す。これまでさまざまな臭いの悩みを解決してきた産業用消臭薬剤「デオマジック―S」を紡績工場や染色加工場に提案する。悪臭の問題が常に付きまとう染色加工場や獣毛・羽毛を大量に扱う紡績工場などでの需要を見込む。同社の江南工場の排水処理場でも使用しており効果を実証済み。
デオマジック―Sは、香料メーカーの山本香料と共同で開発し2011年に発売した。この薬剤は臭いを消す消臭とは異なり、不快な臭いを薬剤の成分で取り込んで、ナッツやフルーツといった良い香りに変える効果を持つ。当初は人工肛門の臭いを抑える用途で開発した。
そのユニークな消臭方法や効果の高さがマスメディアで取り上げられたことで認知度が高まり家畜の糞便臭、生ごみ収集車の汚臭対策で販売が拡大した。全国の介護施設でも使用済みのおむつの臭い対策として採用され、販路が広がっている。
少量でも効き目が強いのも特徴の一つ。産業用は16リットルの原液が入ったタンク売りで、100~200倍に希釈して噴霧装置で使用する。薄めても効果が落ちることはないという。介護施設には手軽に吹きかけられるようにしたハンドスプレータイプを販売しており、従来の消臭剤よりも少ない量で臭いを抑えられると好評だ。
液状の商品だけでなく、最近になって顆粒(かりゅう)タイプも開発。駆除した害獣の死骸を土に埋める際に、土と一緒に振り掛けることで死臭を抑えることができる。それ以外に据え置きで効果を発揮するジェルタイプや手に染みついた臭いをとる石鹸タイプも試作し、新たな用途開拓に力を入れる。
辻本裕戦略素材企画推進室長は「繊維の工場へもアピールし、長年解決が難しいとされてきた臭いの悩みを解消する一助になれば」と話す。