Uniform Fair Spring & Summer 2018(4)/変わるユニフォーム市場これからの成長戦略
2018年01月11日 (木曜日)
〈村上被服 社長 村上 泰造 氏/希少価値出していく〉
2017年7月期は、電動ファン付きウエア「H・鳳皇(ほうおう)」V7快適ウエアシリーズなどの販売が堅調で、売上高が前期比2桁%の増収だった。この1年間、快適ウエアシリーズを販売してきたが、もっと進化していく必要があると感じたことから、今年はデザインや性能を変えたリニューアル版を打ち出す。
競合他社が増える中、当社では建設関係を中心に販路を広げ、ハーネス(安全帯)対応の商品をより強化する。背中のD環取り出し部分でランヤード(D環部品を取り付けた合繊製のロープなど)をそのまま出すことができる仕組みでは特許を申請している。販売代理店やユーザーの声を精査して、強みの分野へ販路を広げながら、昨年と同程度の数量は販売していきたい。
展示会を開いてから今年で3年目となる。電動ファン付きウエア以外でもトビズボンといった特徴ある商品を打ち出す一方で、小ロットでも対応できるなど希少価値を出しながら、今期も2桁%の増収を維持したい。
〈クレヒフク 社長 江草 和広 氏/強みを徹底追求〉
ここ数年、減収が続いていたが、2018年3月期は売上高が前期比で微増となりそうだ。17年の春夏物では定番商品の在庫切れがあり伸び悩んだが、秋冬物ではヘリンボーンストレッチのツナギ服の販売が昨年よりも伸びており、新商品の投入の成果が出始めてきた。
ストレッチ素材を使用し、細身で格好いいシルエットのデニムツナギ服「RED CAT(レッドキャット)」を開発するなど、「CAT(キャット)」シリーズでさまざまなシーンに対応した展開の仕方を模索している。販売代理店やユーザーなどいろいろなところから情報を得て、今後の商品開発や販売戦略を組み立てていくためにも、感覚をもっと磨く必要がある。
さらに他社と同じようなことをして値段競争をするのではなく、誰も考えないようなことをやっていかなければいけない。当社はツナギ服に特化し、得意技を持つことで生き残ってきた。改めて強みを再確認し、徹底的に追求していくことで、今後もツナギ服メーカーとしての存在感を高める。
〈エスケー・プロダクト 社長 池本 誠治 氏/自社ブランドの価値向上にまい進〉
2017年4~11月までの売上高は前年同期比4%増だった。現状のまま推移すれば、目標とする18年3月期の売上高5億円の着地が見えてくる。
主力のツナギ服「GRACE ENGINEER'S(グレースエンジニアーズ)」では、撥水(はっすい)防水のGE-209や、メランジ調半袖のGE-145が完売するなど新商品の動きは好調。秋冬向けのGE-220も早くもカラーのネービーの在庫が切れかけるなど販売が堅調で、今年も自社ブランドの価値向上にまい進する。
ただ、10~11月は売り上げが前期並みで、短期間で売れた商品のリピートが追い付いておらず、伸び悩んだ理由となっている。中国での生産が北朝鮮問題などで不安定化する中、スムーズな供給ができる生産体制の構築が今後の課題となる。
昨年からホームセンターへも供給をはじめ、販路が広がってきた。商品ラインアップはこれまで個人向けが多かったが、売り上げを伸ばしていくためには法人向けの商品開発も強めていきたい。
〈桑和 専務 藤井 荘大 氏/顧客満足に応える〉
2018年1月期は、1年間を通して、ほとんどの月で前年同月を下回ることなく、安定して売り上げを確保できたことで、計画する売上高45億円の達成が見えてきた。秋冬物は例年より入荷が遅い傾向にあったが、例年よりも新商品の投入を増やしたこともあり、引き合いは多い。
納期面をはじめ、まだまだ顧客満足に応えられていない点が多く、今年も顧客満足に焦点を当て、課題を一つ一つ解決していかなければならない。16年秋から新倉庫がフル稼働しており、出荷効率化に加えコスト削減にも寄与しつつある。より顧客満足度を高めるため、これまで担当者の判断で商品が出荷できるかどうかの区別があいまいとなっていたルールを高度化し、誰が担当しても同じになるようにすることで、品質向上につなげる。
さらに市場でのブランド力の向上も課題だ。「G.GROUND(Gグラウンド)」は商品ラインアップを充実させつつあるが、まだまだ知名度が低い。ブランドの定着は山登りと一緒で、品質を向上させながら、地道に認知を広げていくしかない。
〈明石スクールユニフォームカンパニー アクティブチャレンジ部企画部長 浅沼 由佳 氏/成長のため、ここが正念場〉
2017年5月期の売上高は、「le coq sportif(ルコックスポルティフ)」のナースの拡販が進んだことで前期比14%増の19.5億円と大幅増収だった。今期は21億円を計画する。
各業界が抱える課題の一つに労働人口減があり、ユニフォームは人材確保・仕事環境の改善に向けて働く人と、企業をバックアップできるツールとしての役割をさらに高めている。人件費アップの影響を受け節約傾向にあり厳しい状況であるが、モチベーションアップに貢献できる人気のle coq sportifと特色のある商品力、全国の営業網で拡販を続け、前期以上の新規物件の獲得を目指す。
第三の柱として成長していくためにはここが正念場だ。新商品としては今までになかった女性らしさのある花びらの襟をイメージしたナースウエア、ケアにはドット柄を使用した工業洗濯対応のニットシャツを打ち出す。
ソフトワーク向けに開発した商品についても製造やビルメンテナンス関連に採用が決定するなど各ブランドとも好調に広がりを見せる。
〈中国産業 社長 小橋 徳久 氏/さまざまな改革、推し進める〉
2016春夏より商品戦略、販売戦略の組み立て直しなどさまざまな改革を行ってきた。その効果もあり17年3~11月は昨年同期比で売り上げが2桁%増と好調だった。18年8月期決算についても売り上げで2桁%増を目指すとともに、さまざまな改革を今後も推し進めていく。
ブランドでは、これまで「DOGMAN(ドッグマン)」の商品開発が一辺倒だったことを改め、「HOP-SCOT(ホップスコット)」「C's CLUB(シーズクラブ)」ブランドの商品開発も強めており、今後は柱を3つ、4つと増やしていきたい。
ユニフォーム市場の変化は目まぐるしく、刻々と変わっている、さらに今後は地球環境の変化、自然災害の増加、働き手の不足など、避けて通れない社会問題にも対応していかなければならない。
そのようなユニフォーム業界を取り巻く環境の中で「CHUSAN」の役割は何か?顧客の声を地道に拾い上げ本当に求められる製品やサービスを追求し、成長を続けていきたいと考えている。
〈三愛 社長 三國 徹 氏/顧客との“つながり”大切に〉
2017年12月期の決算は、売上高が前期比約2%減の12億円となる見通しで、定番商品の販売額は増加しているものの、個々の特注品受注の増減で、トータルとしてはやや減収となりそうだ。
3年前から商品群ごとのブランド再構築を行ってきたが、5つのブランドは少しずつ顧客にも認知されてきた。今後はさらにアピールを強化して、スタイリッシュで機能性を高めた「JOBSARMOR(ジョブズアーマー)」と、主力定番商品である「AI★CLO(アイクロ)」ブランドの2つの商品群を特に浸透させていく。また、顧客目線に立った商品開発を重視し、次の世代の基幹となる新商品作りにつなげていきたい。
今期は、特に主力商品については在庫をできるだけ切らさないように注意し、顧客が安心して発注できるメーカーを目指す。今後も顧客との“つながり”を大切にして、まず一番に声をかけてもらえる企業になるべく社員一同努力をしていく。
〈大川被服 社長 大川 克昌 氏/成果を積み重ねる〉
2018年1月期の売上高は計画で未達でありながらも、前年比微増で着地しそうだ。できるだけ出張を抑えるなど営業活動の見直しを進め、裾野の取引先まで電話を積極的に掛けることによって、少しずつ成果が出てきた。今年も、このような成果を積み重ねていくことで、少しでも上乗せを図っていきたい。
今夏は電動ファン付きウエア「空調風神服」から「kansai uniform(カンサイユニフォーム)」ブランドを投入する。約1万点の販売を計画し、売り先を広げる。
新商品としては17秋冬に、ミリタリースタイルのワークウエア「Taskforce(タスクフォース)」ブランドから防寒ベストを打ち出し、売れ行きは順調だ。新たに迷彩柄のポロシャツを投入し、ラインアップを拡充する。
細身シルエットでスポーティーな独自性の高いデザインに仕上げたワークウエア「サイレントガード」も徐々に販売が広がっている。さらにこれまでの別注案件も拡大する動きがあり、来期も増収を維持していきたいと考える。
〈丸五
社長
藤木 茂彦 氏/市場での“存在感”高める〉
2017年12月期は販売数量の減少により売上高はやや減少となるが、商品構成の変化などにより、利益は前年並みとなりそうだ。ただ、スポーツブランドや、ユニフォームアパレルなどが安全スニーカーを打ち出し、市場での競合が激しくなってきており、今後売り上げ拡大の計画を組み立てるのが難しくなってくるだろう。市場での支持を得るためには、競合他社との差別化をもっと図っていく必要がある。
「マンダムセーフティー」シリーズは、販売現場への認知度は高まってきたが、エンドユーザーへの浸透はまだまだと考えている。昨年10月に初めて出展した「道工具・作業用品EXPO」などでも好感触を得ているので、認知を広げ新たなユーザーの開拓を進めていきたい。
ユーザー視点の商品としては、「全国建築板金業大会」で職人さんの意見を聞きながら開発した屋根作業用靴「屋根やくん♯03」は17年のグッドデザイン賞を受賞した。
19年の創業100周年に向け、モノ作り力とサービス力の充実によって“ブランド力”を構築し、市場での“存在感”を高めていきたい。
〈福山ゴム工業
社長 中島 秀司郎 氏/抜きんでた機能や性能追求
〉
2017年の履物事業は厳しい1年であり、ワークシューズを取り巻く環境は悪くなりつつある。限られた市場シェアの中で、ユニフォームメーカーを中心とした新規参入や、売り先のプライベートブランド化、直貿による仕入れ商品の増加など、市場での競合が激しくなってきたことがある。
田植えなど農作業に適した作業用長靴「ノーカーズ」はヒット商品だったが、すぐに類似品が出てくるなど、シューズ専業メーカーでなくても、中国で生産し、高いレベルの商品を打ち出せる時代になってきた。この業界だけではないが、最近は“業界の境”がなくなりつつある。
それだけにわれわれ専業にとって厳しさが増しているが、だからこそ抜きんでた機能や性能を追求し、これまでなかったものを打ち出していかなくてはいけない。
スポーツ庁が「スニーカー通勤」を推進するなど新しい動きが出てきた。定着するかどうか分からないが、新しい動きにも注視しながら、商品開発に取り組んでいきたい。
〈福徳産業
社長
細田 信彦 氏
/ピンチはチャンス〉
昨年、TBSテレビで「陸王」というドラマが放映され、多くの経営者が視聴されたことと思う。老舗足袋屋を舞台としたドラマだが、小規模なメーカーであり当社と同じような境遇にある。ドラマの中でも私自身と重なる部分も多く、興味深く見ることができた。
この陸王の中では新素材を使ったランニングシューズの開発と販売がポイントだと思っている。当社は軍手と、すべり止め手袋の生産がメインの国産のメーカーである。国内には原糸メーカーが数多く残っており、これらの原糸メーカーと協力して、国内で新商品の試作、量産が容易となる。
ここ数年の変化は、今までの人生で経験したことのないような大きな変化となっている。私の父がよく「ピンチはチャンス」と言っていた。大きな変化を大きなチャンスと捉え、新商品開発を進め、新商品開発を通して広く働く人に貢献していきたい。