2018春季総合特集Ⅴ(6)/top interview 明石スクールユニフォームカンパニー/スクールスポーツが快進撃/社長 河合 秀文 氏/「デサント」採用200校超
2018年04月27日 (金曜日)
明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC、岡山県倉敷市)は、今入学商戦、私学を中心にモデルチェンジ校の新規獲得が順調に進んだ。スクールスポーツでは「デサント」ブランドが過去最高となる200校以上の新規採用を獲得。2018年5月期に計画する売上高262億円(前期258億円、決算内容は事業持株会社の明石被服興業)の着地が見えつつある。
――第4次産業革命が進行しつつあるとされていますが、実感はありますか。
IoT(モノのインターネット)などが進行する中、追い付いていない部分と、追い付いている部分の両面があるように思います。生産・製造面では、一部自動化をしているものもありますが、時代の流れと比べると、まだまだアナログ的な要素が多く、遅れているように思います。将来、機械的な部分がAI(人工知能)によって、大きく変化することに、期待しています。
営業や社内業務については、システムの活用で、事務処理のスピードや精度が格段に改善しています。今入学商戦もトラブルがなく、納品ができました。ITの活用によって、事務処理などが改善しているためだと思います。作業の効率化で残業も減少傾向ですし、働き方改革にもつながっています。
――今入学商戦についての進捗(しんちょく)はいかがですか。
学生服のモデルチェンジ(MC)校の新規獲得数は、前年並みで推移しましたが、市場的にMC校数が少ない中で、まずまず健闘しました。私学を中心に生徒数が多い学校を比較的獲得できたことが良かったと思います。
詰め襟服やスクールシャツなどの店頭販売商品も、販売を維持しています。ニットの詰め襟服「ラクラン」は抜群の着心地の良さから、少しずつ市場を広げつつあります。
スクールスポーツは、提携する「デサント」ブランドが堅調に売り上げを伸ばしました。前年の150校以上の新規採用から、今年は200校を上回り、累計も1700校近くになりそうです。同業他社の事業縮小の影響で引き合いが増えたこともありますが、デサントが体育衣料として市場に定着してきたことも、貢献してきました。
デサントでは、これまでとは一線を画すデザインの「エクストラモデル」を16年から投入するなど、ラインアップを拡充し、選択肢が広がっていることも採用校の拡大に寄与しています。
――企業向けユニフォームのアクティブチャレンジ部はどうですか。
介護、メディカル向け「ルコックスポルティフ」ブランドを中心に、販売は順調です。営業力の強化や、別注案件の獲得に力を入れていることもあり、新規取引先も例年並みの数字を維持しました。当社の縫製技術やデザイン、企画力などが認められることは、私たちの自信にもつながります。
――今後の設備投資予定はありますか。
年内の大きな設備投資の予定はありませんが、昨年末、宇部テクノパークアソートセンター(山口県宇部市)の敷地内に拡張工事をしていた学生服の2次加工場が完成しました。スポーツのネーム入れや刺しゅう入れなどの2次加工の増強により、よりスムーズな対応ができています。
――これまで、他社とのコラボ企画や新ブランドの投入などを進めてきました。その後の進捗はいかがですか。
AKB48グループの衣装制作など手掛けるオサレカンパニー(東京都千代田区)との協業ブランド「O.C.S.D」は今春から4校で着用を開始しています。素材やデザインにこだわり、学校ごとの特色をしっかりと表現できることが強みです。
ジーンズメーカーのビッグジョン(倉敷市)とのコラボ制服も、1校採用が決まり、高い関心を持ってもらっています。デニム調のブレザーやスラックス、スカートなど、ベージュとネービーの2色で展開していきます。
今後もこれらの企画を継続しながら、さまざまな取り組みを広げていければと考えています。
――防災プロジェクト「明石SUCセーフティープロジェクト(ASP)」を昨年から立ち上げています。
神戸学院大学の社会防災学科と、産学連携で防災関連の商品開発に取り組むとともに、プロジェクトに携わる社員が積極的に防災アドバイザー資格を取得するなど、取り組みを深化させていきます。学校に啓発活動を進めながら、防災への意識をもっと高めていければと思っています。
――18年5月期の見通しはいかがですか。
計画する売上高262億円の着地を見込み、増収を確保しそうです。今後は入学者数の減少などが大きく影響してくると思います。売上高は、前年比で微増を維持しながら、組織として無駄をなくし、利益を生む体制を築いていきます。
〈私の記念日/社長就任の日〉
河合さんの記念日は、2005年8月1日、自身が社長に就任した日。この日が「人生の転機」と言う。「就任日がちょうど月曜日だった」こともあって、就任のあいさつが週初めの朝礼と重なった。いざ社員たちの前に立つと、改めて「覚悟を決めた」。これまで、「自分の前には、先代の社長がいた」が、「これからは自分が先頭。社員たちにも、しっかりついて来てほしい」と強く思った。社長に就任して13年がたつ。今でも当時の原稿を読み返し、“初心忘れるべからず”と、原点に立ち返るそうだ。
〔略歴〕
(かわい・ひでふみ) 1982年明石被服興業入社。89年年取締役、2002年専務。05年から社長。明石SUC社長も兼務。