AFFセレクション/提案力・対応力を向上/中国内での生産強める

2018年05月23日 (水曜日)

 21、22日に東京国際フォーラム(東京都千代田区)で初開催された「AFFセレクション」では、中国のアパレルOEM/ODMメーカーが、日本向け企画提案力・対応力の高さをアピールした。

 婦人ニットを手掛ける嘉興市華麗毛衫科技開発は、2人のデザイナーを生かした製品ODMに力を入れる。輸出の約3割が日本向け。最近は「リネン混のハイゲージや、ビーズをあしらった装飾的なデザインが好評」。紡毛価格の高騰などコスト増を自助努力でカバーし日本のシビアな価格要求に応えるが、「高級ゾーンに活路を求め(同展に)出展した」と言う。

 安徽省服装進出口股●は、メンズを中心にユニフォームや子供服などアパレル全般を扱う、同省最大級の紡織品衣類輸出企業。日本の衣料品市場低迷から周囲の商社が手を引き、同社も10年前の10%台から7%に縮小したが、日本向け専門部署により大手衣料品チェーンや量販店との取り組みを強化。「日本市場全体は大きい」と今後も力を入れる。カンボジア工場ではロットの大きい米国向けを主体に、子供服など一部日本向けも生産する。

 婦人下着を主体に部屋着も展開する威海康麗製衣は20年来、日本の通販カタログ向け製品OEMで輸出を伸ばしてきた。専属デザイナーによるODM提案も拡大。近年では、肌への負担を軽減する無縫製接着型のノンワイヤーブラの受注が拡大。これを軸に通販プラスアルファの販路開拓に取り組み、手応えをつかむ。

 商社の上海欲仁国際貿易は婦人服を中心に、日本のファストファッション、ドイツの百貨店向けなどのOEMを数多く手掛ける。中国国内3工場と提携し、QRと小ロットにも対応。糸や織物の豊富な調達経験を生かし、ODMも行う。

 縫製加工の南通珂岑服飾は長年、日本のアパレル向け婦人服のOEMを行ってきたことから、日本のトレンドを熟知しており、特に刺しゅうとプリント物に強みを持つ。「将来的にはODMも検討したい」としている。

 中国ではコストダウンを求め周辺諸国に生産拠点を設ける動きが盛んだが、「日本向けは小ロット・短納期なので中国に回帰した」「サンプルの即時提案を含め中国自社工場で迅速に対応する」といった声も。環境規制強化でタイトな染色加工でも「中国内の染工場と連携を強めQR体制の維持・向上を図る」など、日本向けの特性に配慮し中国生産に磨きをかける姿勢が目立った。

(●はにんべんに分)