三菱ケミカル/自動車吸音材分野に進出/アクリルの極細技術生かす

2018年05月21日 (月曜日)

 三菱ケミカルは、アクリル繊維で自動車吸音材分野に進出する。繊度が細いほど吸音性能が高まると言われており、0・1デシテックス(T)の極細タイプを生かす。投入する商材は新たに「サイ」と名付け、エンジン音などの低音域への対応を中心に提案する。23日開幕の「人とくるまのテクノロジー展2018横浜」に出展し、本格訴求を始める。

 これまで0・1Tクラスのアクリルはフィルター用途などを軸に展開してきた。一定の需要を獲得し、安定した動きを見せているが、さらなる成長の原動力に成り得る新用途の探索を続けてきた。その中で見出したのが自動車の吸音材分野だった。

 吸音材に使用する繊維は細ければ細いほど性能が向上するとされ、自社の極細化技術が生かせると判断した。同社は「0・1Tクラスのアクリルを作ることは技術的に難しい。他の繊維で生産することも比較的困難であり、優位性が発揮できる」とするなど、市場からの評価に期待感を示した。

 自動車吸音材としての繊維素材は反毛品やポリエステルなどが用いられることが多く、「アクリルは使われていない」(同社)が、高性能化の流れの中で機会はあるとみる。ロードノイズ(走行中に発生する音)やエンジンなどの低音域の騒音に対応できる素材として提案を図っていく。

 極細アクリル100%ではなく、コストや性能の要求に応じて他素材と組み合わせる。電気自動車の普及に伴い、エンジン音に対する需要は減るが、一方で静かさに対するニーズは高まることが予想される。「“KAITEKI”というカテゴリーで訴求したい」(同社)と言う。

 人とくるまのテクノロジー展2018横浜は自動車技術者のための国内最大の技術展(自動車技術展)で、25日まで横浜市のパシフィコ横浜で開催される。同技術展は7月11~13日に名古屋市港区のポートメッセなごや・名古屋市国際展示場でも開かれる(展示会名は「人とくるまのテクノロジー展2018名古屋」)。