企画提案型へ 「AFF・大阪」レビュー(前)/付加価値化で双方一致

2018年04月17日 (火曜日)

 「これまでは安さが最優先だったが、今回は一緒に面白いものを作れるところを探しにきた」。このほど閉幕した日本最大級の繊維・アパレルOEM/ODM展示会「AFF・大阪」に来場した東光商事(大阪市西区)製品部門の幹部はこう話した。この声に呼応するかのように今回展から、企画提案型企業50社を集めた「ODMエリア」が新設された。

 今回展の目玉だったODMエリアは、「企画提案型の企業を探すのが面倒」という来場者の声と、「価格対応型企業と企画提案型企業とを分けてブース配置してほしい」という出展者の声を反映して設置したもの。もちろん、同エリア以外にも企画提案ができる企業は散らばって出展しており、その区分けは曖昧さを残していたが、来場者、出展者双方の意見をくみ取った今回の手法が、今後の同展の方向性を明示するものであったことも事実だ。

 主催者である日中経済貿易センターの池田稔理事は同展の今後を、「おそらく企画提案型、高付加価値型の出展者が集う形になっていくだろう」と見通す。価格対応型の対日OEMは、東南アジアやバングラデシュなどが主流になっていくと予測できる。その過渡期として同展は今後しばらくの間、企画提案型と価格対応型が共存する展示会として運営されていくとみられる。

 大入商店(京都市)は、祭事などで着用するはんてんの生地を探すために同展を訪れた。製品OEM/ODMが主体の展示会であるため生地メーカーを探すのには苦労したが、ODMエリアを中心に生地から製品までの一貫体制を敷く出展者が一定数いたことで「2~3社とは良い商談ができた」。

 「祭事向けということもあり、本当は国内の生地で純国産製品を作りたい」のが同社の本音。しかし、これまで生地を発注していた三河産地の機業が廃業したことと、競合商社が安い製品を輸入してくることから、やむなく同展を生地選定の場とした。結果、思いのほか好感触な商談ができた。「やむなく」だった来場動機が同社の新たな商機を生みそうだ。