MU チーム・福井/三者三様の打ち出し/ジェトロの支援受け
2018年02月08日 (木曜日)
【ミラノ=吉田武史】福井産地の有志企業3社で構成する「チーム・福井」が「ミラノ・ウニカ」(MU)に初めて出展した。日本貿易振興機構(ジェトロ)・福井貿易情報センターが組織したもので、欧米向けテキスタイル販路拡大プロジェクトの一環。
福井市がジェトロ福井に要請したことをきっかけに、2017年にプロジェクトがスタート。その一つがMUへの出展で、3社に設定された枠に、MUに複数回出展する中嶋機業場と初出展のセーレン、日装が手を挙げた。事前の勉強会などをこなしながらジェトロ・ミラノとも連携して欧州バイヤーにサンプルを送付するなど昨年秋から準備を進めてきた。
日装は三菱ケミカルとの連携によるトリアセテート刺しゅう糸使いの生地を訴求。軽さと光沢感、ウオッシャブル性などが事前のサンプル送付でも高評を得た。直接輸出の実績はなく、間接輸出も売り上げの10%弱と現状は国内販路が主体だが、「MUをきっかけに海外市場を開拓していきたい」と意気込む。
中嶋機業場はポリエステル、ナイロン、レーヨン、キュプラ、綿、シルク、和紙など多様な糸を使いつつ個性派機業として密度や組織で差別化を図った生地を約40点用意。MU出展4回目で輸出実績は「着分止まり」だが、ジェトロとの連携も含め、「本格的に開拓したい」と意欲を高めている。
以前はパリ「プルミエール・ヴィジョン」にも出展していたセーレンは、「単なるプリント屋というイメージを与えてしまった」と過去の欧州提案の手法を反省。今回は「フューチャーマテリアル」をテーマに糸、織り・編み、プリント、加工、縫製までをグループ内で一貫生産できる総合力をアピールするとともに、合成皮革やデジタルプリントによる素材表現に力を入れた。ファッション向けの生地輸出は「実質ゼロ」だが、今回のMU初出展を機に仕切り直しを図り、伸ばす。
ジェトロ福井によると、来年2月のMUにも出展する意向で、出展者数も今回の3社から増やす計画。展示会後のフォローアップや個別商談、貿易実務の個別支援なども同時に進め、欧米販路開拓をバックアップしていく。