特集 スクールスポーツ(2)/スクールスポーツ事業トップに聞く 18年入学商戦の方針
2017年12月15日 (金曜日)
〈菅公学生服/開発本部提案企画部長 田北 浩之 氏/「カンコープレミアム」投入/地域密着で市場深耕〉
――2017年7月期決算の売上高は前年比4・4%増の91億円でした。
一部のスポーツメーカーのスクール事業見直しの影響もあって、小学校から中学校、高校とも例年より採用校を増やしました。関東だけでなく、関西にもスポーツの専任担当者を置いたことで、地域密着で学校との関係を強化できたことが増収につながりました。
――18年入学商戦に向けては。
17年と同じくらい新規採用校を順調に獲得できています。ただ、生徒数の減少がどこまで影響が出てくるか、まだ見えていません。
――10月から12月にかけて東京、大阪、名古屋、福岡で総合展「カンコーソリューションフェア」を開きました。
福岡は今回初めての開催で、東京、大阪、名古屋は過去最高の来場者数でした。同展を通じて発信力が強まってきたことも、売り上げ拡大につながってきました。
――新商品として「カンコープレミアム」を打ち出しました。
従来素材に比べ通気量を5分の1程度に抑えた防風性能を持ちながらも、非常に軽い新素材「グランガード」を採用しました。ソフトタッチの肌触りで、裏面には起毛で保温性も高めています。独自の立体設計「3Dプラスシンクロムーブ」により、スリムなシルエットでありながらも着心地の良さも追求しました。既に引き合いがあり、売れ筋の透け防止機能を持つ「ミエンヌ」や、軽くて動きやすい布帛製ハーフパンツ「ハーフレックス」とともに、ヒット商品に育てていければと考えています。
――「カンコースタイリング」では、新鮮なデザインの商品を充実させつつあります。
豊富な種類のトップスとボトムスの組み合わせで着こなしを楽しめるほか、ネックウオーマーやリストバンドなど小物も充実させました。今までの体育着から脱却したデザイン追求しています。
他にも「リーボック」では今回スクールバッグを投入し、好評でした。
――来年以降、生徒減でますます市場での競合が激しくなりそうです。
単に商品を供給するだけでなく、ソリューションを活用し、顧客のニーズを捉えて対応していくことで、付加価値の創出に結び付いていけばと思っています。
《フォーカス/日本最大規模の裁断工場が稼働/菅公学生服・南九州カッティングセンター》
菅公学生服は10月5日に、南九州カッティングセンター(宮崎県都城市)の開所式を開いた。昨年の新高城工場に続く大型の設備投資で、投資額は約6億円。南九州一帯にある縫製工場の年間生産点数210万点の裁断業務を一手に担い、裁断専用の工場としてはおそらく日本最大規模の設備をそろえる。
南九州カッティングセンターは、新高城工場と同じ敷地内にあり、建屋は鉄骨造1階建てで建設面積4988平方メートル、延べ床面積4973平方メートル。従業員数は10月時点の84人から、早期に95人まで増やす。
これまで裁断は各工場で対応していたが、一カ所に集中させることで、生産の効率化を図るのが狙い。さらに各工場で空いた裁断スペースに、縫製ラインを増設することで、生産を拡大することもできる。
南九州一帯の都城工場(都城市)や、志布志工場(鹿児島県志布志市)など9工場分の裁断・縫製準備関連を担い、延反機、CAMをそれぞれ12台、接着プレスを4台保有する。CAMは新設4台がレクトラ社製の最新鋭の設備で、残りは都城や志布志の各工場からの移設となる。CAM8台が学生服などの布帛対応、4台がスポーツウエアなどのニット対応となる。
裁断生地をその日の午前中に近隣工場へ運ぶ体制を取り、協力工場へも供給する。裁断後の不要になった生地をバキュームで吸い取り、一カ所に集める集塵室も設け、作業を効率化する工夫も取り込んだ。
カッティングセンターを含め、新高城工場など各工場では設備を増強できるスペースを残しており、今後も生産効率化に向けた取り組みを進める。3年前から全国各工場の保全担当者が集まり、生産自動化についての研究開発も進めており、次世代型の工場や生産体制の構築に向けた動きも模索している。
〈ギャレックス/スクール営業グループマネージャー 田中 誠一郎 氏/デザイン性高め、ニーズ捉える/「フィラ」累計採用1100校へ〉
――来入学商戦に向けての動きはいかがですか。
2017年の入学商戦に比べ売上高は微増で推移しています。昨年に比べまだ物件が残っている状況で、例年に比べ決定が遅い印象があります。一部のスポーツメーカーの事業縮小の影響があるようで、来年、再来年までその影響があるものと見られます。ただ、生徒数の減少は深刻で、どこまで売り上げに反映するか不透明です。
――来年に向けての新商品は。
「ギャレックス」ブランドから昇華転写プリントのウエアを1シリーズ投入します。やはり学校から昇華転写プリントのものができないかという要望が増えています。当社では中国の工場で昇華転写プリントの設備を持ち、スポーツメーカーへOEM供給をしています。そのノウハウを生かせば、学校への供給も難しくないと思っています。実際、バスケットボールBリーグで複数のチームに昇華転写プリントのウエアを供給していますが、QRができています。
――採用の進ちょくは。
「フィラ」は17年入学商戦で、累計採用校が千校ほどとなっています。来入学商戦に向けても約1100校で着地するものとみています。昨年からデザイン性を一段と高めカジュアルテイストからスポーツテイストに振りつつあり、中でもアシンメトリーデザインの商品の販売が好調です。
「スポルディング」も60校から80校へと採用が広がっています。ギャレックスも順調に採用を伸ばしています。
フィラの「ゴーグル」、ギャレックスの「ウインドバスター」といった防風機能を備えた商品の販売も順調に増えています。
“第5の商品”として打ち出す、長袖Tシャツやラッシュガードも今後力を入れて販売していきます。
――沖縄や北海道など、新たな市場開拓も進めています。
これまで空白地帯でしたが、沖縄は3年前、北海道は2年前から、開拓に乗り出し、徐々に成果を上げつつあります。栃木や広島もあまり採用がないだけに伸ばす余地があると思っています。
今夏公開の映画「あさひなぐ」に特別協賛しました。主力のギャレックスを中心にもっとブランドの知名度を高めていくことにも取り組んでいきます。
〈明石スクールユニフォームカンパニー/スクールスポーツ部長 宮﨑 将人 氏/「デサント」快進撃続く/過去最高採用150校突破〉
――2018年入学商戦に向けての動きはいかがですか。
「デサント」は今年、採用校が150校を超え、過去最高となりましたが、今年はそれを上回るペースで決まっています。累計では1650校で着地しそうです。
――採用が堅調な理由は。
デザインや素材、ブランド力などありますが、やはり安定して納品できるということが強いと思います。ほとんどが国内生産であり、学校が採用にちょっとでも前向きな姿勢を見せれば、積極的にアプローチができ、安心して供給することができます。
――商品ラインアップも充実してきました。
16年にはこれまでとは一線を画すデザインの「エクストラモデル」を投入しました。18年商戦に向けてはデザインのアクセントにロゴを配したコンビファスナー採用の1300シリーズや、中高一貫校で全学年違うカラーリングが可能な1310シリーズなどを打ち出しました。19年以降ではハイクラスの「エキスパートモデル」で、昇華転写プリントを施したデザインのウエアの投入を予定しています。
――自社ブランド「ヨットスポーツ」はいかがですか。
17年商戦に比べ、小中学校を中心に採用校が増えています。素材の置き換えなど、マイナーチェンジも積極的に提案しています。
――スイムウエアブランド「アリーナ」も本格的に展開に乗り出しました。
数校に採用が決まりつつあります。
――増収基調で生産面も拡大していく必要があります。
協力工場を増やすとともに、宇部テクノパークアソートセンター(山口県宇部市)では2次加工を増強するため、拡張工事をしており、来年から本格的に稼働していきます。プリント、刺しゅうの設備などは従来のままですが、将来増設することも想定し、加工場を広げました。
――2018年5月期の売上高は前期比4%増を想定しています。
生徒数の減少がどれだけ影響するか、まだ分かりませんが、今のペースであれば達成できると思っています。
〈トンボ/執行役員営業統括本部MD本部長兼スポーツMD部長 橋本 俊吾 氏/「ピストレ」全国へ採用広がる/来年6月、倉吉に工場新設〉
――2018年入学商戦に向けた進捗(しんちょく)は。
今年の入学商戦並みに新規採用校を獲得しつつあり、「ヨネックス」は今年も約100校獲得できる見通しです。
自社ブランド「ビクトリー」も、100校ほど採用校が決まっています。ウオームアップウエアとしての「ピステスタイル」に着目した「ピストレ」の採用が東北、北海道の学校へも採用が広がってきました。軽くて防風性が高く、コンパクトに畳めることや、昇華転写プリントとの組み合わせによる多彩なデザインが評価されているようです。
学校体育着だけでなく、サッカーやチア、マーチングなど部活動での採用も増えています。やはりデザイン性の高さが採用決定につながっています。
――昇華転写プリントは、他社も製品に採用するケースが増えてきました。
当社では15年に美咲工場(岡山県美咲町)へ昇華転写プリントの一貫加工ラインを設置しています。他社は協力工場を活用し、部分的なデザインにとどまるケースが多いですが、全面にプリントして大胆な柄を企画するなどデザイン性を高めることができます。
さらに今期から美咲工場に「品質認証課」を設置しました。制服並みに品質管理を徹底し、より品質向上に取り組みます。
――売り上げ拡大で、生産拠点の確保が課題となってきます。
協力工場を増やすとともに、女子ブレーザーを中心に生産するトンボ倉吉工房(鳥取県倉吉市)の隣接地に、来年6月をめどに工場を新設する予定です。自社の生産比率も高めていきます。
――今期(18年6月期)は前期比5%増となる売上高46億円を計画しています。
生徒減がどこまで影響が出るか分かりませんが、達成できればと思います。
――少子化で売り上げが伸びにくい状況になりつつあります。
東京で元トップアスリートを招いた特別企画「ビクトリースポーツフォーラム」を開くなど、今後の市場開拓につながる動きを強めています。
11月29日には「いい服の日」のイベントとして、全国の学校からアイデアやデザイン画を募集しました。今年は大幅に応募も増え、スポーツウエアでの新しいアイデアなどもたくさんありました。そういった取り組みを通じてビクトリーの認知を広げていきます。
〈ミズノ/ライフスタイルスポーツ事業部事業企画部 事業企画2課アシスタントマネジャー 黒田 祐二郎 氏/左右非対称の上下がけん引/消臭機能の標準化も〉
――スクールスポーツウエアの18年入学商戦の状況はいかがですか。
今、商談の後半戦で、追い込みの時期を迎えています。感想を言うと、この数年中受注は堅調に推移しています。例年の同時期に比べ、2桁%台の増とはいかないまでも、数%の伸びを見込んでいます。
――新商品の動きについては。
2年目を迎えるリーズナブルな価格設定の左右非対称の装飾的なデザインをあしらったジャケットとロングパンツ上下がけん引しています。昨年の受注もとても良かった商品です。近年、ファッション性のある体操服が好まれるようになってきたのが背景にあります。
上下セットで従来品より約1500円程度安く、新たなデザインで差別化をしつつ、価格面でも提案しやすい設定がけん引理由と考えています。
別注や大きくデザインを変更するとコスト高になります。左右非対称の上下セットはコストをかけずに、他の商品との違いを出しやすい商品という点が受け入れられています。それに機能性の中でも吸水速乾は今、標準装備になっていますが、消臭機能の標準化も始めています。生徒、生徒の親、先生のいずれもが臭いに敏感になっているようです。
――販路拡大では学生服で連携するメーカーの瀧本との体操服分野での連携も強める。
高校に加えて、中学校への営業力を強めるためにも瀧本との連携による獲得校数増に期待しています。
先ほどの左右非対称の上下セットの商品の生産は、基本的にタイですが、緊急対応で国内生産体制も敷いています。
――18年入学生向けのスクールスポーツウエア・シューズの販売の見通しは。
18年3月期の売上高は前年並みの30億円を見込んでいます。少子化の影響で逆風のイメージがスクールスポーツの業界にあるようですが、今年は受注段階での成績はまずまずの評価で、前年を大きく割り込むことは考えにくいと思います。
機能性をしっかりと押さえつつ、動きやすさを追求する「ダイナモーションフィット」など、ミズノが競技で培った設計理論を商品に盛り込み、ミズノらしい独自性を発揮してスクールスポーツ市場に臨みます。
〈ユニチカメイト/社長 清水 義博 氏/「プーマ」の型数増奏功/累計で100校以上が採用〉
――2018年3月期の業績見通しを。
前期の19億円強を下回りそうです。「プーマ」の新規採用校を計画以上に獲得できたため、学校体操服は微増収になりそうなのですが、前期に増収だった学校体操服以外のユニフォームOEMが、顧客の在庫調整の影響で減収になりそうなためです。
――プーマジャパンと、日本におけるプーマブランドの学校向け体育衣料品類等の販売に関する契約を結んだのは2014年でした。
累計採用校が、来春時点で100校を超える見込みです。学校体操服売上高に占めるプーマのウエートは20%近くに上昇します。
価格帯別に「トップ」「ミドル」「ベーシック」と、小学生用の「ジュニア」の4カテゴリーで各1型を展開していましたが、ミドルとベーシックを昨年各1型増やし2型としました。この効果で、計画以上の新規採用校を獲得できました。販売地域も、東京や京阪神などの都心部、東海、南九州に加え、東北地域へも広がりました。今後、北九州、四国への販売も強化します。
2020年4月までに、累計採用校を150校へ増やす計画で臨んでいます。今年発売したプーマのレディース・カテゴリー1型が好評なことも期待材料です。
――プーマ以外の体操服の状況は。
少子化によって生徒数は近年、毎年2%のペースで減少しています。これに伴う学校の統廃合などの影響を受け、別注は減少傾向で推移しています。
ただ、当社オリジナルブランドの「Uムーヴ」は、新規採用校の獲得に力を入れていることもあって、そんなに大きくは減っていません。
――今後の方針を。
ブランド志向の流れが確実にありますので、プーマの拡販でシェアアップを図ります。隣の学校と同じ体操服になるのは嫌がる傾向がありますが、プーマの採用校はまだ100校規模。まだまだ伸ばす余地があります。
Uムーヴについては、それぞれの地域の特性に合わせた提案を強化したいと思います。
――物流コストが上昇していますが。
年々上昇しています。物流経費の価格転嫁を検討しています。
〈児島/副社長 山本 真大 氏/生徒の命守る、命題に開発/“違い”もっと明確へ〉
――2017年12月期のスクールスポーツの売上高はいかがですか。
前期に比べ微収となりそうです。既存校の生徒数の微減少や、消費者の節約志向もあって、客単価の下落が影響しています。
――18年以降の入学商戦に向け、「キャッチ」「エコ」「ケア」の3テーマを軸に、手入れのしやすさなど「保護者に向けた戦略」を強化していました。
今年7月に開いた展示会では打ち出し方そのものは良かったものの、学校や販売代理店の関係者にもっと関心を持ってもらう工夫が足りなかったと反省しています。昨年から「安心・安全・愛」をテーマにしてきましたが、改めて制服を含め、体育着もどうあるべきかを訴えていく必要があると考えています。
例えば交通事故では中学生よりも高校生の方が約1・5倍も多いという事実はあまり知られていない。そういったさまざまな資料を提示し、だから反射材を使う、このカラーを使うといった裏付けをしながら、デザイン性だけでなく、根本的に生徒の命を守ることを命題に商品開発、打ち出し方を追求していかなければいけません。
――独自性の高い新商品の開発も進めています。
東洋紡と共同開発した素材「速衣(はやい)」を搭載したウエアは好評でした。洗濯、脱水後から着用できるまでの時間が約40分と短く、夜に洗い忘れても、朝洗濯して干しても学校に持って行けることをコンセプトに、取り扱いやすさを追求しています。
――中高向けに販売が好調な、形態安定や速乾など10個の機能を持つニットシャツ「NEX10(ネクスト)」では小学生向けも投入しました。
機能性は多機能化する傾向にありますが、例えば防融などに特化し、それに機能をプラスアルファするような開発を今後は考えています。軽量なのに防風性があるなど、相反する機能を持たせることで、他社との“違い”をもっと明確にし、特徴のある商品を打ち出していきます。
――新カタログの作成も進めています。
来年7月の展示会に合わせて発行する予定です。独自性の高い商品を充実させていくことで、採用校獲得への勝率を高めていきます。
〈瀧本/生産本部副本部長 寺前 弘敏 氏/「ロット」デザイン性高める/「T―PIT」活用広げる〉
――前期(2017年6月期)のスクールスポーツの売上高はほぼ横ばいとなる8億5400万円でした。
少子化で生徒数が減少していることに加え、同業他社との競合が激しくなる中で、ほぼ横ばいを維持できましたが、スポーツは後発だけにもっと伸ばしていかなければいけません。
ただ、主力の制服販売で活用していた「T―PIT(ティー・ピット)」という販売ツールをスポーツにも導入したことで、選んでいただきやすくなっていることもあるようです。T―PITによって、タブレット端末の画面上で学校が望むような商品イメージを作成できるようになったことで、サンプルを実際に製造するための時間や費用がなくなるメリットがあります。ブランドの「ロット」、自社ブランド「タイガースポーツウェア」の双方で活用の幅を広げていきます。
――ロットの採用が広がってきました。
累計採用校数は100校ほどで、私学を中心に採用が多かったのですが、最近は公立校での採用も増えてきました。
10月に東京、大阪で総合展示会を開きましたが、ロットの新たなデザインとして、昇華転写プリントによるデザイン性を高めた商品を幾つか打ち出しました。デザイン性だけでなく、イタリアのスポーツブランドらしいシルエットでありながらも動きやすく、学校からの評価も年々、上昇する傾向にあります。
――タイガースポーツも新商品を充実させつつあります。
シルエットを見直し、細身にするなど、カッティングパターンを改善しています。新たに女子専用のカッティングも取り入れました。女子高を中心に関心が高く、好評を頂いています。
――「ミズノ」ブランドでは体育館シューズや、体育の授業で使う衣料品以外の関連商品も取り扱いつつあります。
学校の要望から少しずつ取り扱いアイテムが増えつつあります。
――今期の売上高の計画は。
採用校の増減よりも、生徒減の影響による受注減で環境は厳しいと思っています。ブランドによる競合も激しくなりつつありますが、新規を増やすのはもちろん、喪失校を出さないよう、前期並みの売上高を維持できればと思っています。
〈ゴールドウイン/販売2部 スクール販売グループマネージャー 田邉 将伯 氏/スポーツメーカーの技術生かす/「スクリート」採用校増える〉
――2018年の入学商戦に向けた商況、19年の方針は。
18年はブランドの変更などがあり、厳しい状況でしたが売り上げは想定内で動きました。オリジナルブランド「スクリート」は、スポーツウエアを生産しているメーカーとして蓄積したノウハウを学校に適したバランスで盛り込み、全国的に採用校が増えています。19年に向けては新規採用校10%増を目標にしています。小学校は一度決まると継続する傾向があるため、更新のチャンスが高い中学校、高校をターゲットにアプローチする方針です。
――スポーツメーカーとして長くスクール事業を展開されています。
当社の前身の津澤莫大小が1957年にニットのスポーツウエアの製造、販売を始めたのがスタートです。以来、スポーツに根差した体操服を作り続けています。
――スクリートの特徴を教えてください。
九つのタイプがあり、大きく三つに分けています。丈夫さと安全性を追求した「ステッチワーク」、「ウイング」タイプは主に中学校をターゲットにしています。デザイン性と素材感を併せ持つ「アーチ」「ストライプ」タイプは中学、高校向けです。運動機能を追求した「Vライン」「Sブロック」タイプは高校に提案しています。
――新たに変更した商品はありますか。
高校向けのウエアは今春から型紙を大きく見直しました。成長期にはある程度ゆとりが必要ですが、ストレッチ性が高い素材を使うことで、細身のシルエットにしました。ボリュームダウンした分、動きやすくなります。軽さのある素材を使ったのも特徴です。従来は袖口にニットフライスを採用していましたが、バインダー仕様にして細いニット素材を採用しました。
――東京五輪に向けてスポーツに力を入れる学校が増えています。
スクールスポーツは、学校での部活動に加え、地域のクラブチームなど多様化が進むでしょう。体操服は保護者から丈夫なもの、機能性に優れたものを求める声があります。一方で低価格ということも求められます。学校体操服として必要な機能を見極め、オーバークオリティーにならないよう心掛けたいと思います。
――少子化で売り上げが伸びにくい状況になってきています。
スポーツメーカーとして、体育の授業だけではなく、学校生活全体を見て、快適にすごすことができるアイテムを提案していきたいと考えています。