商社繊維事業のいま 2017年度上半期決算から(2)/事業子会社、明暗分かれる

2017年12月05日 (火曜日)

〈アパレル不振も純利益増/伊藤忠商事〉

 伊藤忠商事繊維事業の連結(IFRS)は収益2534億円(前年同期比0・6%減)、売上総利益611億円(5・5%減)、営業利益85億円(21・7%減)、純利益136億円(14・5%増)だった。

 収益はアパレル関連事業の販売不振などを受けて減収。営業利益も経費の減少を進めたが、同事業の不振をカバーできなかった。

 純利益は持分法投資損益が前年同期の24億円から34億円へ37・3%拡大した。税金費用の減少も貢献して純利益が増益となった。関係会社で副資材商社の三景からの取り込み益を増やした。通期の純利益目標は320億円とする。

〈製品事業、TX貿が健闘/豊田通商〉

 豊田通商繊維事業の連結は売上高1001億円(1・3%増)、売上総利益79億円(4・8%減)だった。テキスタイル貿易、アパレル製品OEM/ODM事業を展開する豊通ファッションエクスプレスが健闘した。製品ビジネスではインナー、ユニフォーム、スポーツへの絞り込みが奏功した。産業資材関連の粗利減が売上総利益の減益につながった。

 通期は増収増益を予定する。川下事業は福助で新商品の投入による巻き返しを見込む。製品ビジネスはパジャマ、インナーに加えユニフォームでも海外市場を開拓する。スポーツ関連では3社合弁でベトナムに縫製工場を設立することも決めた。

〈主要事業会社が好調/住友商事〉

 住友商事繊維グループは連結売上高385億円(2・9%減)、単体売上高47億円(20・5%増)だった。ファッション製品ビジネスのスミテックス・インターナショナルは海外子会社が中国内販、対日中・高級品アパレル向け直接貿易を伸ばした。住商エアバッグ・システムズは世界的な自動車販売台数の増加や安全志向の高まりで販売は好調だった。ユニフォームの住商モンブランは定番品・別注品ともに堅調に推移し、計画を上回った。

 「フェイラー」「ナラカミーチェ」を展開する住商ブランドマネジメントは「フェイラー」が好調。Eコマース、直営店チャンネルの強化を進めた。

〈OEM子会社は減益傾向〉

 総合商社の主要繊維事業子会社からの取込損益は、製品OEM/ODM関連で減益傾向だ。丸紅ファッションリンク、三菱商事ファッションが減益で三井物産も複数社で構成するファッション事業関連が減益となった。