三菱ケミカルホールディングス/中計の利益目標4300億円に/投融資額なども増額

2017年11月30日 (木曜日)

 三菱ケミカルホールディングスは、進行中の中期経営計画「APTSIS20」の成長戦略を加速する。統合会社の三菱ケミカルによる協奏・成長と合理化を収益向上につなげるほか、投融資額も増やす。これらで利益拡大を図り、最終年度のコア営業利益の到達点を、当初目標より500億円多い4300億円に高める。

 同社は、2020年度にコア営業利益3800億円、売上高コア営業利益率(ROS)8%、純利益1800億円、株主資本利益率(ROE)12%などを目標とする中期経営計画を進めている。28日に東京都内で開いた事業説明会で越智仁社長は「コア営業利益3800億円は必達の数字。新たに掲げた4300億円は一つの目標になる」と明言した。

 中計では各分野で施策を着実に実行しており、機能商品の炭素繊維では、SGL社の米国製造拠点の買収や自動車市場向け炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製造販売会社への出資、北米焼成ライン増設などを実施。中計の数値目標もROS、純利益、ROEは17年度で達成できる見通しになっている。

 20年度に向けて成長戦略の加速やM&A(企業の合併、買収)、効率化、合理化などを推進し、収益力を高める。この中で投融資額は2千億円増額の1兆7千億円とし、研究開発(R&D)の費用についても250億円増額する。

 焦点を当てる市場への取り組みでは、自動車・航空機(モビリティー)で軽量化や電動化、環境対応などをキーワードに事業を進める。軽量化ではPPコンパウンドの北米・アジアの能力増強、環境対応で内外装品・透明パネルに使用されるバイオエンプラの拡販などに力を入れる。

 コア営業利益目標の500億円上振れに関して、越智社長は「機能商品群で伸ばしていく部分が大きい」と話し、投融資額の増額分は「新しい市場への進出や新しい領域を強化することに使う」と説明した。