三菱ケミカル「ソアロン」/ニット 好調に推移/欧米も7月から回復

2017年11月22日 (水曜日)

 三菱ケミカルのトリアセテート素材「ソアロン」の2017年度上半期(4~9月)は、前年同期比増収となった。国内はニットが好調で、輸出は中国向けが順調に拡大した。下半期(17年10月~18年3月)も前年同期比増収を計画する。

 上半期の国内販売は衣料品市況低迷の影響を受けて織物が苦戦したが、ニットの伸びがカバーし、全体では堅調に推移した。特にベロアとベルベットが前年比約3倍と大きく伸びており、この流れは来年も続くとみる。

 海外は、顧客が増えている中国向けが順調に伸びたほか、欧米も堅調だった。欧米は4~6月の動きが鈍かったものの、7月以降に回復。特にトリアセテート100%品が拡大傾向にあり、先行して取り組んでいた欧州で人気が定着し、米国にも広がった。トリアセテート100%品はドレスなどに加えてコート用などにもアイテムが広がっている。今後、日本でも提案を強める。

 サテンなど光沢感のある商品も堅調なほか、富山事業所のアセテート工場がFSC認証(森林認証)を取得したことで「サステイナビリティーの面からも注目が高まっている」(宇野啓一繊維素材事業部テキスタイル営業グループマネジャー)と言う。

 今後は日本・欧州・米国・中国の各市場でさらなる拡大を狙う。北陸産地との取り組みで商品開発を加速し、「良い商品をロングランで育てていく」。来秋冬に向けては「レベッカ」「ユーフィー」「ネオミッション」などをさらに進化させる。トリアセテート×ポリウレタンの「ユーフィー」では光沢感を抑えて膨らみ感ある商品を投入し、トリアセテート×レーヨンの「レベッカ」では経・トリアセテート100%×緯・レベッカで光沢感を出すなど各商品でバリエーションを広げる。

 酸化チタン練り込みでUVカット、透け防止などの機能を持つ「トライラテ」など機能を付与した商品開発にも注力し、ファッション衣料だけでなくユニフォームやスポーツなどでも拡大を狙う。