学生服メーカー16年度決算/目立つ過去最高売上高/経常利益は明暗分ける

2017年10月27日 (金曜日)

 学生服メーカー大手4社の2016年度決算が出そろった。17年入学商戦は、モデルチェンジ(MC)校数が前年に比べ少なかったものの、スクールスポーツの販売が拡大するなどで、3社が増収を果たし、いずれも売上高で過去最高を更新。一方で経常利益では明暗が分かれる結果となった。

 17年入学商戦での全国のMC校数は前年より24校少ない177校(ニッケ調べ)だったが、菅公学生服(岡山市)、トンボ(同)、明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC、岡山県倉敷市、決算は明石グループ)はいずれも売上高で過去最高を更新した。

 菅公学生服は、異業種も交えながら学校支援の要素を含んだ総合展示会「カンコーソリューションフェア」の来場者が毎年増加する傾向で、MC校の獲得にも寄与。学生服流通大手の東京菅公学生服(東京都中央区)と一体となった企業運営により、首都圏でのMC獲得も順調に進んだ。

 100校超のMC校を獲得したトンボは、大阪や福岡でのMC校の獲得が健闘したほか、他社が供給していた物件を取り込んだ、いわゆるアパレルチェンジ物件によって青森、福井、岐阜、愛知各県の売り上げ増も大きく貢献した。

 明石SUCは09年5月期に連結決算を発表し始めて以降、連続して増収を維持する。店頭販売が新入学キャンペーンや、消費者目線で開発した学生服「スマートワン」など好評で計画通りの販売。学校制服も喪失物件が少なく、新規校の獲得を増やせた。

 さらに3社はアシックスジャパンの事業集約を受け、スクールスポーツでシェアを伸ばしたことも増収につながった。

 瀧本は、生徒減の影響を受けながらも、商品開発の強化などでMC校の獲得を維持し、売上高がほぼ横ばいだった。

 一方で経常利益では明暗が出た。減益となった明石SUCは、人件費などの上昇に加え、素材の値上がりによるコストの圧迫が強まっていることも影響。菅公学生服も減益で、昨年11月に新高城工場(宮崎県都城市)、今月南九州カッティングセンター(同)を開設するなど、大型設備投資が続いたことが響いた。

 増益となったトンボは、社内全体で年間1億円のコスト削減を目標に掲げる「TCR(トータルコストリダクション)委員会」での取り組みが社内に浸透してきたことが奏功。瀧本も営業・生産双方で無駄の削減と効率化の進んだことが増益に寄与した。

 今期も各社は増収を計画する。しかし、18年入学商戦のMC校は、ニッケによると140校程度となり、2000年代に入り最も少なくなる見通し。入学者数も前年より6万人ほど減る予想(文部科学省学校基本調査)で、業績への影響が懸念される。

 その中で、大手による市場の寡占化が一段と進む可能性もある。