三菱ケミカル 繊維素材事業/川中協業で価値高める/社内連携の効果も期待
2017年10月18日 (水曜日)
三菱ケミカルの繊維素材事業部は、川中企業との協業による高付加価値素材の開発に力を入れる。
湿式アクリル短繊維、トリアセテート長繊維「ソアロン」、ポリプロピレン長繊維「パイレン」など独自性を持つ素材が同社には多いが、高機能成形材料部門繊維本部の河﨑隆雄執行役員繊維素材事業部長は「素材の独自性や差異性だけでなく、川中のエキスパート企業と協業することで、糸やテキスタイルとしての価値が生まれる」との考えを強調。全素材で各段階との連携を強化する考えを示す。
川中との協業を進める一方で、新素材の開発も推進する。アクリル短繊維ではこのほど、ポリマーから改質した新原綿にめどを付けた。現在、需要家段階で性能評価を行う。主にセーター向けで、極細化によるソフト性にハリ・コシを合わせ持つ新素材。既存の極細わたに比べて抗ピル性も高いことから「コア素材として育成したい」と言う。
ソアロンではユニフォーム地など機能衣料分野向け新素材を投入する。婦人服地が主力のソアロンだが、着心地の良さや吸湿性などの特長が評価され、ユニフォーム分野に広がりを見せる。さらに拡大するためUVカット、防透け、遮熱などの機能性トリアセテート長繊維を開発した。
こうした新素材も川中企業との連携によって、さらに付加価値を高めることに今後も重点を置く。
川中連携と同時に社内の他事業との取り組みも推進する。4月1日付でグループ3社が統合し新たなスタートを切った同社だが、各種樹脂の繊維化や機能材の繊維との複合化など社内連携も具体化する。
販売面でも新体制の効果が表れる。自動車資材の開拓に向けて、自動車関連事業推進センター(AMS)と連携することで、0・1デシテックスのアクリル短繊維による吸音材の開拓も加速しているという。