日中貿易、新しい活力/「AFF・東京2017」に見る(後)/素材への注目高まる

2017年10月05日 (木曜日)

 「AFF」を運営する中紡広告展覧の孫暁明総経理は、次回以降の東京展の方向性として「素材関連企業の出展を増やしたい」と語る。製品OEM/ODM展をうたう同展は、縫製工場とそうした工場を活用する貿易公司との出展が多いが、来場者に対して実施するアンケートによれば、中国で調達できる付加価値素材に対する要望が顕著になっている。素材関連企業が集まるエリアでは、来場者への対応に追われる姿がしばしば見られた。

 来場者だけでなく出展企業からの関心も高い。ダウンジャケットなど布帛使いのスポーツウエア製品や寝装品を取り扱う威海聯衆紡織は、吸水速乾、接触冷感、竹繊維を使った高通気、抗菌・防臭など機能素材による付加価値化に力を入れている。初参加となった東京展では、顧客開拓だけでなく中国国内の素材メーカーとの関係構築・情報収集も目的とした。

 常州匯金繊維織品は会期中に7万メートル分の生地販売を決めた。「良い商談ができた」と初めての出展を笑顔で振り返った。同社の強みはパンツ地。ファッショントレンドを把握し、新素材開発に生かす対応力を訴求する。

 6割を占める日本向けでは、機能素材に力を入れている。春夏用で問い合わせが多くなった吸汗速乾素材に加え、7万メートルの商談はUVカット後加工を施したもの。環境規制が厳しくなる中で、通販、大手のGMS、SPA販路をこなすグループ染工場の管理基準が差別化要素となっている。

 ストレッチデニム向けポリウレタンの綿カバリング糸を中心に機能糸を生産する青島邦特繊維は、糸開発機能を強化するため、専門家や大学教授などで構成する開発センターを2015年に設立した。

 植物成分を抽出して有効な植物成分を繊維に添加するナノレベル技術を訴求した。レーヨンにこの植物成分を練り込み、さまざまな機能を発揮する混紡糸が来場者の関心を引いた。取引先商社が関係のある生地メーカー、縫製工場と共に訪れ、販路開拓に手応えをつかんだ。

(おわり)