東レ・モノフィラメント/歯ブラシなど3用途強める/19年度売上高90億円へ

2017年08月04日 (金曜日)

 東レ子会社の東レ・モノフィラメント(愛知県岡崎市)は2017年度(18年3月期)からのグループ中期経営課題に基づき、(1)歯ブラシ向けの拡大(2)不織布用途の強化(3)釣り糸の再構築――に取り組む。さらにグループで掲げる「TC―Ⅲプロジェクト(トータルコスト競争力強化)」も推進。3年後の19年度に売上高90億円(16年度比50%増)、営業利益9億円(同80%増)を計画する。

 米村伸哉社長は「中経は通過点」と述べ、長期的には売上高100億円、営業利益10億円を目指す考えも示し、既存分野の拡大に加え金属代替の土木資材など新用途開拓も推進、将来の柱の育成にも取り組む。

 中経で拡大を図る歯ブラシ向けは、テーパー形状のモノフィラメントを中心として「収益の柱」。開発を強化しながら、19年度までに同分野向けの原糸生産能力を現行比50%増に引き上げる。

 同社によると、日本の歯ブラシ市場は年間5億本規模だが、世界的には100億本で年率2~3%成長が見込めるという。一方で、テーパー形状では新規参入もあるため「収益を維持・拡大するにはコストを下げ、量を拡大することが必要」とし、TC―Ⅲプロジェクトによる生産プロセスの近代化も増能力と同時に行う。

 不織布用途の強化は製紙用ドライヤーカンバスの需要が減少傾向にあり、ベルトメーカーも不織布用にシフトしているため。「不織布、特に高速生産を行うスパンボンドなどはベルト(ネットコンベア)で品質が決まるとも言われる」だけに、不織布用に適した原糸開発を強化する。

 釣り糸は4月に東レインターナショナルから事業移管され、生産・販売一貫体制となった。「数少ない一貫体制を武器に巻き返しを図る」。同分野でのシェアは10%を割り込んでいることから、「まずは原点に立ち返ってモノ作りに取り組み、PRも行い消費者のリピートにつなげる」と言う。

 同社は合繊モノフィラメント(単一の長繊維)を製造販売しており、タイ、インドネシアのグループ企業への委託も含めた年間生産量は約3500トンと国内最大手。モノフィラメントは歯ブラシや製紙用ドライヤーカンバス、釣り糸のほか、漁網、テニスのガット、ギターなど楽器の弦に使用される。原料も多岐にわたり、ナイロン、ポリエステルのほか、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、フッ素などもある。