サービスユニフォーム/和装給仕服の需要拡大/訪日観光客増 追い風に
2017年07月11日 (火曜日)
和装ユニフォームの需要が拡大している。急増する外国人観光客を呼び込もうと、宿泊施設、飲食店、土産物店などでの和風給仕服採用が増加傾向にあるためだ。ユニフォームメーカーの中からは、需要増を背景に和装の商品ラインアップを充実させる動きも出てきた。
観光地の宿泊施設やレストランで客の消費を促す要素の一つが、提供するサービスや商品に合った店舗の雰囲気。店の外観、内装はもちろん、接客する従業員が着用するユニフォームもその雰囲気づくりに大きな役割を果たす。
国内サービスユニフォームの企画は一般衣料品と同様、欧米の被服文化の影響が強い。大手ユニフォームメーカーの商品カタログを見ても洋装スタイルの商品が8割以上を占め、販売率も和装に比べて圧倒的に高いのが実情となっている。しかしこのところ、サービス業を中心に和装のユニフォームへの関心がにわかに高まっている。
背景にあるのは訪日外国人観光客の増加。日本政府観光局がまとめた2016年の訪日外国人観光客数は前年比21・8%増の2403万9千人と過去最高だった。この流れは現在も続いており、最新の5月単月集計では前年同月比21・2%増の229万5千人で、5月としてはこれまでで最多だった。サービス業ではこの急増する観光客を一格上の“おもてなし”で呼び込もうと、日本らしさがアピールできるユニフォームを採用するケースが増えている。
需要増を受けて、ユニフォームメーカーには“和”をテーマとした商品の打ち出しを強化する動きも出てきた。
東レきもの販売(京都市)は業務用着物のブランド「スマイルタイム」を今年立ち上げた。ホテル、料亭、和食店などで働く女性の着物で構成する。外観は本格的な着物だが、企画で工夫して5分で着られるようにした。
正木康彦社長は「訪日外国人の増加や東京五輪を前に、サービス業で業務用の着物需要が高まっている」とし、「新ブランドで気軽に着物を給仕服として採用してもらえるようにアピールする」と話す。
住商モンブラン(大阪市中央区)は物販や飲食店用途の作務衣、着物風の商品を長年、販売してきた。商品企画室の吉倉康二氏は、「高級な居酒屋や料亭などで着実に需要は増えつつある」と語り、「成長分野なので、商品バリエーションを強化していく」と述べる。
ボストン商会(神奈川県横浜市)は「ジャパニーズ」という和風の商品グループを作って物販、飲食店、旅館などに提案を進める。同社グループでボンユニ大阪の池田恭之執行役員は、「売り上げ規模は今のところ横ばいだが、外国人観光客の増加数を考えれば今後の市場の拡大に大いに期待できる」と展望する。