産資・不織布の備忘録(7)/「テクテキスタイル17」から/3次元立体不織布も登場

2017年05月30日 (火曜日)

 日本企業による不織布の新提案が相次いだ「テクテキスタイル2017」。帝人フロンティア(TFR)が初披露した3次元立体不織布「DECOLAY」もその一つになる。

 帝人は4月1日付でポリエステル短繊維事業をTFRに事業移管したため、TFRとしては初出展となるが、グループとしては毎回、パラ系アラミド繊維製造子会社のテイジン・アラミドが主体となって、合繊メーカーが数多く出展するホール4・1の入り口に大ブースを構える。

 パラ系アラミド繊維「トワロン」「テクノーラ」、メタ系アラミド繊維「テイジンコーネックス」「同ネオ」に加え、高機能ポリエチレンテープ「エンデュマックス」など同社は豊富な高機能繊維を持つ。特にパラ系アラミド繊維では米国・デュポンと並ぶ2強。それだけに、会期中は常に多くの来場者がブースを訪れ、活発なミーティングが行われていた。

 ポリエステル短繊維事業も前回展(2015年)から、ブースの3分の1以上のスペースを取り、欧州市場の開拓に本腰を入れている。

 現状、ポリエステル短繊維の欧米販売は「限定された販売先にとどまる」(産業資材第二部門ノンウーブンソリューション部の内田俊一かるてん課長)だけに、同展を通じて新規顧客の開拓を狙った。

 ポリエステル短繊維でTFRが新提案したのがDECOLAYだ。不織布に凹凸感を付与する場合、通常はエンボス加工などを施すが、DECOLAYは「エアレイド製法によるもので、密度が変わらない」のが特徴。来場者の関心も高く、同社はワイパー向けなどを想定したが、それ以外の用途の話もあり、本格化に向けたキッカケはつかめたようだ。

 その他にもポリエステルショートカットファイバー、ナノファイバー「ナノフロント」、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」、高機能クッション材「エルク」や、独自製法による長繊維不織布「ユニセル」や人工皮革「コードレ」などをグループ企業の製品も出品した。

 帝人にとり、17年度はポリエステル短繊維の構造改革仕上げの年でもある。松山事業所で継続する特殊品の一部を除き、17年12月に徳山事業所での生産を休止し、タイ子会社などに生産移管する。