東レ不織布事業部/基盤作りと新用途開拓/わた開発力生かし原反も

2017年05月17日 (水曜日)

 東レの松下達不織布事業部長は、ドイツ・フランクフルトで9~12日に開催された産業用繊維・不織布の国際見本市「テクテキスタイル2017」会場で取材に応じ、「さまざまな部署に分散していた不織布関連事業が集まった部隊でもあり、まずは基盤を作り上げる。同時に新分野の開拓に取り組む」と新事業部長としての抱負を語った。不織布事業部は4月1日付で新設された。国内外の不織布関連事業のヘッドクオーター機能も担う。

 同社は、4月にスタートした中期経営課題「プロジェクトAP―G2019」の繊維事業の主要課題の中で新事業創出戦略の一つに不織布を位置付け、“世界唯一の長・短総合不織布事業の確立”を目指す。不織布事業部はそのかじ取りを担っており「全社的な期待も大きい」。

 テクテキスタイル2017でも不織布事業の強化が表れた。同社ブースの前面にはポリエステルスパンボンド不織布(SB)、ナノファイバー不織布、さらに不織布を基材とする工業用人工スエード「エクセーヌ」を配置。同社が不織布に重点を置いているさまを印象付けた。ポリエステルSBでは低目付品を出品するなど、高目付品だけではないイメージも打ち出した。

 不織布事業部は主力のポリプロピレンSBのほか、ポリエステルSBや短繊維不織布の原料となるポリエステル短繊維、PPS(ポリフェニレンサルファイド)繊維、フッ素繊維などを取り扱う。その基盤整備にまずは重点を置く一方、短繊維不織布メーカーと連携した原反販売を視野に入れる。

 短繊維不織布の原反販売について松下不織布事業部長は、「原料販売から単純に川中へ進出するのではなく、強みである原綿開発を生かしながら、新たな用途を開拓することに重点を置く」と強調。関係会社である日本バイリーンはもちろん、その他短繊維不織布メーカーとの取り組みにより「当社が短繊維不織布を販売して意味がある事業を追求する」と語った。